第39話 デート2 後半

俺とユリナが向かったのは、武器屋だ。


え?デートで武器屋?と思った人も多いだろう。だが、冒険者同士でデートする時は、割と武器屋に行くカップルが多いらしい。


これは師匠から教えてもらったことでは無く、単純にこの世界で過ごしていて知った。


やっぱ地球とは全く違うんだなって改めて思い知らされたな。


「イスカさん。このナックル良くないですか?」

「んー?どれどれ......良いな、これ」

「ですよね!」


すごいなユリナ。よくこんなものを見つけれたな。しかも鑑定無しで。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ブレイクナックル S級

効果

攻撃力+500

俊敏+300

魔力をナックルに込め格下の敵に攻撃すると、威力関係なく即死する。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


やばくね?強すぎるだろこのナックル。


ハンマーを手放したときでも、十分にこのナックルで戦えるぞ。


と言うか師匠に持たせたら、この世界の大半が即死するじゃん。

ユリナに師匠だけには持たせるなと後で言っておこう。


俺たちは店主の所へ行き、


「これください」

「5000メルで良いよ」

「え?何でですか?」

「そんな汚いナックルうちには置いておけないからね。もう少しで処分するところだったんだ」


この店主、見る目がなさすぎるんだが。


確かに見た目はちょっと汚いって言うか、だいぶ汚いけど。

性能的にはめちゃくちゃ良いからな。


それを5000メルは商売が下手すぎる。


まぁそのおかげで俺たちが買えたから良かったけど。


「いやー良い買い物をしましたね」

「そうだな。あの店いつか潰れるんじゃないか?」

「それは........有り得そうですね」

「だろ?」


とてもデート中とは思えない会話をしながら、次の目的地へと向かう。


「ここだ」

「なんですか?ここ」

「有名スイーツ店だ。小腹が空いてきた頃だろ?」

「ですね。行きましょう!」


ここは師匠に教えてもらった、有名なスイーツ店らしい。


なんでも、ここのパフェが絶品なんだとか。


というわけで、ユリナはパフェを、俺はプリンを頼んだ。

なんか師匠の用意したデートプランにこう書いてあった。


一人一人違うものを頼み、あーんをするのじゃ!


と。


ということで、それに従ってみた。


「イスカさん。パフェ美味しいですよ」

「そうなのか?」

「はい!一口上げますね」


ん?俺がやろうと思っていたことが、先にやられてないか?


「はい。あーん」

「あーん」


もぐもぐ。

うむ。美味い!


じゃなくて!先を越されてしまったじゃないか!いや、この流れで俺も行けるんじゃないか?


よし!行くぞ!


「ユリナ俺のプリンも美味しいぞ。食べるか?」

「いえ。お腹いっぱいになってしまったので、遠慮しておきます」


マジかよ。







作戦がことごとく失敗した後、俺たちは、師匠の調べた絶景スポットへと来ていた。


ここから見る夕焼けが最高にきれいらしい。


今日の天気は、天が俺に味方してくれているのか、雲一つ無い晴天だった。


そんなふうに考えていると、その絶景が俺たちの目に舞い込んできた。


「....きれい」

「あぁ。そうだな」


地球でこんなきれいな景色はみたことがなかった。


そのくらいきれいで、心が洗われた。


そして、俺はタイミングを見失った。



これ。いつ言えば良いんだ?



この雰囲気のまま行くか?でもそれでさっき失敗したからな。まぁでも行くしか無いか!


「ユリナ!」

「はっはい!?」


俺はユリナに頭を下げ、手を差し出す。


そして、心の中で覚悟を決め。


「俺と、付き合ってください!」


そう、口にした。



たった数秒の沈黙が、今の俺には永遠にも思えた。


その沈黙をユリナが破った。


「はい。よろしくお願いします」


その日。俺たちは、仲間から、恋人へと進化した。







みんな気になっていることがあるだろう?


そう。あの師匠にもらったプレゼントだ。あの後、ダンジョンに戻ってから、自分の部屋で開けてみた。


中には避妊具が入っていた。


俺はその日誓ったね。







あのクソ魔王。絶対にボコすってね。







あとがき

やっと付き合ったか。ここまで長かったぜ。












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戦神〜異世界にクラス転移した俺が戦神に至るまで〜 クラさん @syoueisanndayo

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