1話30秒で読める140字小説集

醍醐兎乙

『別人の成り代わり』/『脚を取られる』/『お先真っ暗』/『カムバックキャンペーン』/『致死量の記憶』

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『別人の成り代わり』



 彼は昔から遅刻が多かった。

 今でこそ誰かと会う日は、カレンダーの日付に印をつけて、遅刻対策をしているらしい。

 今日の待ち合わせにも遅刻せず、効果があるものだと感心する。


 彼から話があると部屋に招かれた。

 準備が必要らしく部屋で待っていると、壁に掛かったカレンダーが目に入る。


 今日の日付に印はついていなかった。



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https://kakuyomu.jp/works/16818093082271079316/episodes/16818093082271218574



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『脚を取られる』



 男は見知らぬ部屋で目を覚ました。

 部屋を見渡すと脚の壊れた机が散乱している。

 脚が壊れていない机は男が寝ている長机だけだった。


 男は長机から降りて部屋を調べていると、壊れた机に脚を捕られて転倒しそうになる。


 男は咄嗟に手を伸ばして長机の脚を掴む。


 部屋中に声が響いた。


『これより脚の引っ張り合いを始める』



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『お先真っ暗』



 女は既視感を覚えていた。

 人との会話、人との出会い。

 それらを夢で見た気がするのだ。


 確認のため、夢を記録していくと、3日毎に翌日の予知夢を見ているとわかった。

 その上、予知夢は女が何をしても必ず実現した。


 前回の予知夢から3日後の朝。

 女は予知夢を見なかった。


 そして、自分に明日は来ないと悟り、悲鳴を上げ絶望した。



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『カムバックキャンペーン』



 久しぶりに、君のもとを訪ねると決めてから。

 共に過ごした、楽しかった日々を思い出すよ。


 僕が君に興味を持ったから、僕たちは出会ったんだよね。

 でも僕は君との出会いや、一緒に過ごした思い出は覚えているのに。

 君と交わした二人だけの大切な言葉を忘れてしまったんだ。


「パスワード忘れてソシャゲにログインできない」



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『致死量の記憶』



 新種の花が発見された。

 触れた人の記憶を奪い、白い花弁を黒く染める花。


 学者達は様々な実験により。

 この花は奪った記憶を花弁に蓄える事。

 花弁が黒いほど蓄えている記憶量が多い事。

 そして花弁を食べると、花弁の蓄えている記憶が頭に流れ込む事を発見した。


 その結果。

 漆黒に染まった花弁を食す『黒花刑』が生まれた。



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