一周して
「さて、これで一周したわけだけど、どう?文芸部は?」
言葉集めゲームが終わった後に梓先輩がそう言ってきた。
「楽しいですよ」
「そう、ならよかったわ」
なんだかほっとしたような表情をしているけど何かあったのかな?
疑問に思っていたら理沙先輩が「実はね」と教えてくれた。
「梓ちゃん、花音ちゃんを無理やり入れて嫌な思いをさせたんじゃないのかなって思ってたのよ」
「ちょ!なんでいうのよ!」
・・・・
「花音もなんで黙ってるのよ!」
「あ!すみません。先輩がそう思ってたなんて意外で」
「何ですって!」
梓先輩は怒ったけどほかの先輩は「そうだよね」と頷いている。
「わたしだって反省ぐらいするわよ」
あ、落ち込んじゃった。
「大丈夫ですよ。嫌な思いなんてしていませんから」
「ほんとうに?」
「本当です」
梓先輩の表情がぱぁっと明るくなる。
「そうよね!なにせこのわたしが誘ったんだから!」
よかった、元気になった。
「でも、ほかの新入生は見学に来ても誰も入ってくれなかったけどね」
「それはそれよ!」
すっかりいつものペースだ。
それにしてもほかにも見学に来た人がいたんだな。
「半分くらいは梓を怖がって出ていったんだけど、結構変わった人もきたよね」
葵先輩の言葉に皆さん「そうそう」と頷く。
「へーどんな人が来たんですか!」
「小説を書きに来た人がいたわね。内容を知ったらやめますって言って出ていったけど」
なるほど。
「言葉遊びをよくしてるって言ったらじゃあテレビゲームをしてもいいですかって言ってきた人もいたね」
は、はあ。
「あと文芸部を武芸部だと思ってやってきたムキムキの人もいたよね!」
ん?
「それから文芸部には悪魔が取り付いているって言ってきた人もいたわね」
・・・
「どうしたの?黙っちゃって」
「いや、なんかかわった人がおおいなぁと思って」
「たしかにそうね。でもわたしたちの一番記憶に残っているのは」
梓先輩がそう言うと先輩たちは互いの顔を見た。
「いつも明るくて」
「おもしろくて」
「先輩相手でもつっこんで」
「私たちを今まで以上に楽しませてくれる子よ」
へー、そんな人がいたんだ。
あれ?
「ど、どうしたんですか?皆さんそろってわたしのほうを見て」
「あーもう!鈍いわね!」
に、にぶい?なにが?
「だから!今言ったのは花音のことよ!」
え⁉わ、わたし⁉
「わたしたちは花音ちゃんが入ってくれたことがとてもうれしいの」
「いつもウチらと楽しくおしゃべりしてくれるよね!」
「花音がいると前よりも部室がにぎやかになるしね」
「だから、その・・・こほん!つまりね!わたしたちはみんな花音のことが好きってことよ!」
そういうと梓先輩は顔をそむけてしまった。でもちょっと見える顔はほんのりと赤くなっている。
みなさん・・・
「わたしも皆さんのことが大好きです!これからもよろしくお願いします!」
「「「「こちらこそ、よろしくね!」」」」
わたし、文芸部に入ってよかったな。
文芸部のことばあそび 月夜アカツキ @akatsuki0707
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