第9話 夏休み

 不登校になって、早3ヶ月、気づけば季節は本格的に夏になろうとしていた。学校に通っていれば、今日は終業式だ。学校から連絡がきてそれを知った、はるは、我関せずといった感じだった。不登校児は毎日休みなので、夏休みが始まることに実感がもてなかった。


 暖かくなって、冬にもさもさと生えていたごん吉の毛も短くなっている。それでも、椅子の上で眠っているごん吉の体勢が、冬に比べて開放的だ。そんなごん吉を眺めながら、はるは考え事をしていた。それは、昨晩母に言われたことだ。


「夏休みが明けたら、学校に行ってみない?」

はるは、嫌だと言ったが、母は納得していない様子だった。

「まあ、夏休みを過ごしてみて、考えてみて」

そう言って母は、掃除機をかけはじめた。


 寝ているごん吉を撫でていたら、ごん吉が起きてしまった。しかし、ごん吉は喉を鳴らして気持ち良さそうだ。


 「ね、ごん吉。わたし学校に行った方がいいのかな」

ごん吉は、うっすらと目を開けて、こちらをみた。

「ぼくは、はるに家にいて欲しい」

はるは嬉しかった。

「私もごん吉とずっと一緒にいたい」

ゴロゴロゴロと、ごん吉も喉を鳴らした。

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不登校と猫 @zigokukarakonnitiwa

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