第8話 ごん吉の腹時計

 洗濯物を畳み終わって、自分の部屋で宿題をしていると、ごん吉が部屋にやってきた。一階で寝ていたはずなのだが、ちゃっかりご飯の時間の1時間前には起きてくる。とても正確な腹時計である。


 若干寝ぼけているようなごん吉に話しかける。

「よく眠れた?」

「寝過ぎたくらいにゃ」

ごん吉は、はるが宿題を広げた机にその身体からは想像ができないほど軽々と乗ってきた。ただし、ごん吉の勢いが余っていたので、数学のワークにしわがよってしまった。

だが、はるはそんなこと気にもしなかった。

「ごん吉、今は構ってあげられないや、ごめんね」

「別にいいにゃ。見てるだけにゃ。」

「ごん吉、見るのはいいけど、ワーク踏んでるから、ちょっとどいて」

「ごめんにゃ」

「いいよ」

かくして、ごん吉がご飯を待っている1時間ほど、はるはごん吉に見つめられながら、宿題をしたのでした。




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