ゆいごん

曇りの朝は機嫌が悪そう 

ぶさっとテラスの窓辺に寝そべり

萎びた日差をひっかき集め 

さもしいばかりの独り占め


─わたしのぶんはないの

ってきいたら

つん もちあがったちいさな口許


でも

やにわに しゃなり 伸びあがると 

菩提樹のてっぺん見あげて


─もうすぐいなくなりますからね

 だから

 三色ジャムの小悪党は さいごには赦すもんですよ

 それと

 こんなへしゃげた空の日は私の名を口にしなさい─


そう言い残して

すんっ 光る扉から出ていった

見送るわたしのせすじは りんっ  


そんなゆいごんは

今頃お陽様のしっぽ追いかけてる

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夜光塗料 桃川 夕 @yakoukoubou

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