第12話

 昼休みになり、俺は職員室に呼び出されていた。どうやら葉月の妊娠の話が教師の耳まで届いてしまったらしい。

 嘘だということはまだ広まっていないらしく、今から事情説明である。


「柊葉の話が職員室で話題になっていてな。俺としては嘘だと確信しているんだが、実際どうなんだ?」


「その通りですよ先生。俺はまず彼女を妊娠させるような行為を一度も行っていません。もし仮に妊娠していることが本当だとしても俺の子ではないことは確かです」


「まあそうだろうな。真面目で成績優秀で教員たちに好かれてる優等生なお前がそんなことするわけないもんな。すまんな、教師として一度話をしなけりゃならなかったんだよ」


 先生はそれから俺に退室の許可を出すと俺より先に教室を出て行った。どうやら先生も嘘だと思っていたらしい。

 それはまあ当たり前なのだが、それにしても俺の評価が思ったよりも高かったことに驚いた。


 今までそんなこと言われたことないけど…俺って思ったより好かれてる?生徒に嫌われても先生に好かれているなら不都合なんて絶対に起きないだろ。


 なんだよ、最高じゃないか。







 放課後俺はさっそくに家に向かって走っていた。理由は舞に話を聞くためである。もし葉月が舞に手を出していたら俺だって何か行動を起こさなくてはいけない。


 たとえ俺に怒ってるとしてもしてはいいことと、してはいけないことはある。それくらい高校生である今なら判断着くはずだ。


「ただいま」


「おかえり、兄さん」


 見たところ舞の様子は朝と変わらない。

 いつもの俺の愛しい、愛しくてたまらない普通の妹である。


「おう、今から少し話があるからリビングで待っててくれるか?俺は部屋で着替えてくるからさ」


「うん?いいけど…なにかあったの?」


「後で話すよ」







 ☆☆☆


 放課後になってから私はすぐさま舞ちゃんに連絡した。だって真翔が焦ったような表情をして帰宅していったからだ。


 朝の真翔の困った顔、すごくかわいかったなぁ。


 本当は昨日、本当に襲って既成事実を作ろうと思ったんだけど舞ちゃんに止められちゃったんだよね。

 まあ別に急がなくても最後には私の手の中にあるのだから、今は彼を孤立させることに注力しようと思う。


 舞ちゃんを消すことはしない。舞ちゃんがいなくなってしまっては真翔は自殺する可能性がある。

 別に私は束縛が激しい女ではないの。ただ真翔と幸せにしてあげたいだけ。ついでに私も幸せにはなるつもりだけどね。


 真翔が望むなら舞ちゃんも交えてそういう行為も…って思ったけど、実の妹を犯したいなんて考えるような人ではないよね彼は。


 もしその道があり得るなら、舞ちゃんが自分に気持ちに気付いて私と同じように病んでしまえば実現するだろう。


 その未来も私としては全然ありかな。絶対楽しいと思うもん。


 そうだ、早く真翔の家にいかないと。


 そろそろ分からせてあげないと。


 

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現実見たら彼女と釣り合ってなかったので別れてもらうことにした minachi.湊近 @kaerubo3452

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