第28話 あとがき。親愛なるおばあちゃんへ







  これまでの私は、友達がいない、出来たことすら無い、ボッチ万歳で自由気ままだった中学時代とおさらばし、地元を離れた新しい地での高校生活が始まった。


 当然新しい地に頼れる友達がいないし、そもそもボッチの私には関係ないことであり、おばあちゃんの援助もあるから何も心配することなく、三年間を過ごす……はずだったんだけどね。


 今日という一日を振り返っていれば、まだまだ話したいことがたくさんあって……あっ、そういえばおばあちゃんに電話するのを忘れてた。


 ちょっと遅くなったから、心配させているかもしれないね。


 慌てて携帯端末を手に取った私は、早速おばあちゃんに電話をかけた。


『Trrrrrrr……Trrrrrrr……もしもし? ヒナコ、今日はいっぱい楽しんだようね?』


 あっ、おばあちゃん。


 うん、連絡遅くなってごめん。


 心配だった?……うん、うん……あのね、おばあちゃん。


 私ね……今日からボッチを卒業します。


 えっ? まだ授業すら始まっていないのに、卒業なんて気が早いって?


 おばあちゃん、違うよ。履修的な意味での卒業は当分先だから、そう言う意味じゃないんだ。


 うん、そうそう、私ね、これまで空想したことなんだけど……もし、私に友達が出来たとしたらね、選ぼう、大切にしようと思ってはいたよ?


 うん、なんて言うかその……今日、初めて友達が出来ました。


 うん、そうそう、なんて言うか、結果的に私が受け入れたって言うのか、選ばれたと言うのか、私に友達が出来ること自体、記憶の中では……多分、初めてだと思うからね?


 今まではなにも知らずにいたから、なんだろう……ワクワクするって言うか、なんて説明すれば良いのかな?


 うん、うん!……そうなの。


 とりあえずね、私の友達になった人たち、紹介するよ───。







 ───春日 虎千代(カスガ トラチヨ)



 四回ダブっている彼の年齢は、おそらく二十歳前後。


 ズートスーツのようなダボっとした制服、おまけに長いストールを首から垂らしているから、どこからどうみてもチャイニーズマフィアそのものなんだ。


 香港映画スター気取りの彼は、俳優で言えば『チョウ・ユンファ』に、『真田 広之』を足したような感じ。


 身長は184cmぐらいだったかな?


 長身で、私よりもずっと高いよ……ああ、こいつにチビと言われて腹立つけど、何故か憎めないし、ユーモアがあるし、思った以上に紳士的なんだよね。


 不思議なことにね、彼が他の女性と話しているときに……ううん、きっと気のせいかな?───。







 ───香坂 凪沙(コウサカ ナギサ)



 今日、一番最初に仲良くなった人で、東方共栄学園の卒業生で、英語講師で、私のクラスの副担任なんだ。


 年齢は27~28歳ぐらいで私と一回り違い、身長なんかに至っては……191cm!


 おっきいでしょ?


 うんうん、凄く大きいから一見するとおっかなそうだし、最初は外人さんだと思ってね……英語で話し掛けてしまったんだ。


 ちゃんと英語で返ってきたし、日本語で話してくれって言われてね?


 うん、ナギさんはね、とても気さくで話しやすくて……かっこいい大人の女性だよ。


 それに私に足りないものが全部あって……うん、ちょっと欲張り過ぎじゃないかな?


 うん、あ、ごめん。


 もう遅いよね……うん、続きはまた今度ね?


 じゃ、おやすみ───。







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ミニマムで凶暴な 風見 日向子(カザミ ヒナコ)は、ボッチだけど最高にクールでご機嫌なハイスクールライフを満喫するはずでした…… あらフォウかもんべいべ@IRIAM配信者 @around40came-on-babe

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