第4話 復讐代行
――それから1ヶ月後。
まずいまずい……!
早朝、僕は誰もいない廊下を小走りする。
教室の方を見やると、既にどのクラスも生徒達が席に着き朝課外を受けている。
遅刻だっ!
「――はぁっはぁっ」
少しして、自分の教室に着いた僕は、息を切らしながらゆっくりとドアを開ける。
その音で、僕に気付いた先生と目が合う。
「遅れてすみません」
何か言われる前に即謝罪。
言い訳をせず、起きた事実にすぐ謝る事で出来るだけ悪い印象にならないようにする作戦。
「タケシが遅刻なんて珍しいな。何かあったのか?」
「ちょっと寝坊をしてしまって……」
「そうか。あと10分くらいしかないが、とりあえず教卓の上のプリントを取って小テストを始めてくれ」
「はい……」
最悪だ。
小テストがあるからと、昨日夜遅くまで勉強していたのが裏目に出た。
まさか遅刻してしまうとは……。
先生の指示通り、教卓の上に置かれたプリントを取って足早に自分の席へと向かう。
その時に、僕はふと。窓際の空いた席を見る。
(今日も、来てないのか)
空いた席の主。
それは浮気女――元カノの席だ。
元カノはかれこれ3週間ほど学校に来ていない。
その理由は本人にしか分からない事だが。
(まぁ多分、ショックがデカすぎたんだろうなぁ……)
1ヶ月前、結局僕は、復讐代行人に100万円を渡して復讐代行を依頼した。
高校生の僕にとって100万円は、あまりにも大きな金額で、多少不安はあったものの……。
そこから程なくして、元カノと寝取り男は学校に来なくなった。
噂好きの友達に事情を訊くとどうやら、2人はセフレ関係にあるという事実の、ありとあらゆる証拠がインターネットに出回ったらしい。
加えて、たばこやら酒やら良からぬ事をしていたみたいで、そういった情報もネットに公開されたと。
100万円も払ったのに、たったのそれだけかよ!
と、話を聞いた時は正直思った。
しかし、家に帰って自分でも調べてみると、それらの情報は学校内のみならず一般にもかなり拡散されていて、結構えげつない動画も出回っていた。
しかも、結果そのせいで2人とも大学推薦の話が頓挫したらしい。
文字通り、2人は社会的に死んだ。
復讐代行人は無事、復讐代行を完遂したという事だ。
*
――――――――――――――――――――――――
復讐代行人さん。
この度は復讐をしてくれて
本当にありがとうございました。
元カノ達は無事に、
復讐代行人さんの言っていた通り社会的に死んで
いま僕はとても満足しています。
復讐をする事でこんなにも、
清々しい気持ちになるなんて知りませんでした!
全ては復讐代行人さんが、
僕を説得してくれたおかげです。
本当に感謝してもしきれないです。
ちなみに僕の方はというと。
お世話になっていたバイトを辞めて、
今は勉強に専念しています!
行きたい大学への現役合格は……
正直、厳しいかもしれませんが!
全力で臨むつもりです!
最後になりますが。
今、勉強に専念出来ている事も
今、大変だけど楽しい学校生活が送れてる事も
どれもこれも復讐代行人さんのおかげです!
本当にありがとうございました!
#復讐代行人※■%さん
――――――――――――――――――――――――
「お〜、わざわざ感謝の書き込みをするなんて律儀だな〜」
「オレも金を得られるわけだし、ウィンウィンな関係だから感謝なんてしなくていいのに〜」
「でもまぁほんと、自分の意思を持ってない馬鹿は、ちょっと揺らすだけで相手の発言に靡いて自分の意見をコロコロ変えてくれるから楽だなぁ〜」
「タケシ君、自分の意見を突き通す日は来るのかなぁ。まっ一生来ないか。アハッ」
「……おっと、新しい復讐代行依頼だ。えーっと、これは……」
「フハッ。やっぱ復讐の連鎖は続くなぁ! ったくこの仕事、本当に最高だぜ♪」
――完――
あとがき
どうも松本です
この作品を最後まで読んでいただきありがとうございました。
今まで書いた事のないジャンルだったので、拙いところが多々あったと思います。
それに関しては先に謝っておきます、すみません!
自分的には、この拙作が暇つぶし程度にでもなれたのなら幸いです。
っとまぁ、ここら辺で謝罪と感謝は終わらせて話を変えます。
話というか、ちょっとした補足というか。
朝課外って単語を、普通にこの最終話に書いちゃったんですけど。
多分、なにそれってなる人もいるかなって思うので一応説明を。
朝課外ってのは、一限目の前にある0限目?みたいな、朝の課外授業の事です!
自分の地元の高校ではあったんですけど、都道府県によっては朝課外がない所もあるみたいですね。
【完結】書き込みから始まる復讐物語 松本ショウメン @MatsuMirai01
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