踊る阿呆に見る阿呆


 漫然とライトノベル作家を目指したくなった男。
 
 やるならとことんやろうと、夜間大学を選び、人気のシナリオを片っ端から読み込んでいく。

 彼の有り余る熱量と時間は、ゆっくりと姿を変えていき……



「踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃ損々」

 有名な徳島阿波踊りの出だしですが、その大切さがわかる物語でした。

 彼は私でもありました。熱意の向きを間違え、自分の素質を見間違え、未練と虚無感に囚われていく。

 さっさと阿呆になって、皆と踊るべきだったのです。