そして私は、月と奏でる

月が泣き始めたのは二千年前のことらしい。突如として月の周りに発生した雫が雨となり世界に降り注いだ。その頃に多くの村や町が戦を起こし、外との交友を断ったらしい。結果、世界の地図はびりびりに破られてしまった。
同じく閉鎖的な小さな村で暮らす若いハープ弾きの青年、シーナ・ブルックスは、月に恋をしている。そんなシーナはある日、弟子であるウォル・アーヴァイン少年と共に村長に呼び出され、月を泣き止ませるための方法を探すという依頼を引き受けることとなった。
今、村の外へと旅立つ時。魔法やチートなんてものは存在しない世界で、ハープと本で得た知識だけを抱いた青年達の頓珍漢な旅が今始まる。