第6話 ノラ猫戦士 ~ その1

パンタの力を借りて自由に霊体になれるようになってからは私は頻繁に霊体散歩にでかけるようになった。始めは家の中だけだったが最近は我が家から半径200メートルぐらいは出歩くようになっていた。いつものようにふらふらパンタと散歩をしていると猫同士のケンカの声が聞こえてきた。

「邪と戦士が戦ってるな。早苗、今後の為に見学させてもらおう。」

側に行ってみると黒い見たことがない獣と茶トラとキジトラの二匹の猫が戦っていた。が、猫の方も様子が違う。二本足で立ち、普通の猫爪ではなく指1本だけ随分と大きなく長い爪だ。まるで剣のように構えて戦ってる。

黒い獣は「ギャーオ!」と耳障りな咆哮をすると身体から黒い針のような物を二匹に向かって飛ばし始めた。二匹は難なくそれらを剣のような爪で弾き飛ばすと、間合いを詰める。獣が前足を上げたその時、キジトラが剣で獣の腹へ一太刀浴びせた、その瞬間、茶トラが飛び上がり真上から獣を突き刺した。獣は声もあげずさらさらと砕け、煙のように消えてしまった。

早苗は思わず拍手した。

「凄い!君たち凄く強いんだね~」

と声をかけた瞬間キジトラが早苗に剣を突きつけた。

「オイ!口の聞き方に気をつけろ!」

とキジトラ。ギロリとにらまれる。

「すまない。コイツは最近ようやく目覚めたばかりの小娘だから許してやってくれないか。俺の方から説明するから。」

パンタは慌てながらキジトラに言った。

「チッ、この辺で俺達のことを知らないとはな。」

と、しぶしぶ剣を下げてくれた。

「早苗、俺達猫には役割ってもんがある。ノラ猫戦士は日々、縄張りに目を光らしパトロールしてくれている。邪をなるべく凶悪化させない事が彼らの役割だ。さっき早苗が見た獣は凶悪化した邪だ。凶悪化にも段階があり、最初は塊に目がついたもの、次に4本足の獣。コイツは身体が大きくなればなるほど強くなる。そして人型。最悪は生身の人間に取り憑くこと。」

「この二人はノラ猫戦士のタイツとヨシガだ。」

茶トラが

「タイツだ。この辺のノラ猫戦士のボスをしてる」

そう言うと剣のようにしてた爪を本来の猫爪に直し握手を求めてきた。

「さっきはすいませんでした。」

と握手した。

「ヨシガだ。タイツの相棒だ」

ヨシガはしぶしぶ手を出してくれた。

「パンタさん。今週だけで凶悪化がさっきの奴をいれて2匹目ですよ。なにか悪い予感がします。」

タイツが神妙な顔している。

「タイツの言うとおりタチの悪い何かが生まれてるのかもしれないな。ノラ猫戦士達にも気になる事があったら連絡してくるように伝えてくれないか?俺も何か見つけ次第、鳥に知らせるよう伝えとく。」

「パンタ、鳥って?」

「あぁ、早苗にも教えとかなきゃな。猫意外にも役割があってな犬は邪を追い払う役目、鳥は凶悪化した邪を見つけ知らせる役割があるんだ。本来なら鳥が見つけるまでもなくノラ猫戦士が祓ってしまうから、鳥が知らせるのはだいたいやっかいな事になった時が多いんだ。」

私達が知らないとこで身近な動物にそんな役割があったとは…。

その時の私まだ事の重大さに気づいてなかった。


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猫の秘密と私の記憶 ~実は魔法使いだった⁉️ 一神木 陸 @pankuromina

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