第3話

 深夜過ぎ、携帯電話のベルが鳴る。サユが確認せずに取ると二宮からだった。


〔寝てた?〕


 ちょっと楽しそうな声の二宮にサユも笑ってしまう。


『ううん、起きてた。あ、コーディネイトありがとう。』


〔うん、いいんだよ、それくらい。うまく行ったみたいね。〕


 二宮の声の後ろで聞き覚えのある声がしてサユは驚く。


『ミナくん?』


 二宮は受話器を押さえたのか小さな声で、あっち行けと言っている。サユが笑うと二宮の声が大きくなった。


〔うまく行ったかどうか気になってたの。よかった、おめでとう。じゃ、もう切るね。ごめんね夜遅くに。〕


 電話が切れて、受話器の向こうにいる二人を想像して噴出した。なんかうまく行ってるんだなあ。ミナ君と二宮さんはお似合いだし・・・と思いつつ深夜に二人でいることに気付いてハッとした。そうだよね、恋人同士なんだからそういうこともあるよね。


 サユは携帯電話をベットに投げ出してごろんと寝転がる。


 大人な関係を想像しただけで顔が赤くなるようじゃ紫苑とも先には進めない。でも大事にしようと言ってくれた紫苑を思い出して目を閉じる。


 恋を暖める相手が彼ならば素敵なのかもしれない。サユは唇に指先を触れさせると、あのときの感触を思い出してクッションに突っ伏した。


『なんか・・・私、いやらしい。』

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ハートビート 蒼開襟 @aoisyatuD

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ