第96話 あっけなく

碧とゴンは僕と恵麻を必死に守ってくれた。碧は連続で繰り出される光る鞭を剣で弾き、ゴンは身を挺して光る鞭を受け止める。


そして、僕と恵麻は光る石像に接近することができた。恵麻がすぐにデバフタクトで攻撃する。


「衰退せよ!」


この一撃でデバフは入った。しかし、睡眠と麻痺は無効だったようで、動きは止まらない。僕はそんな光る石像に向かって鉄槌を下す。


「鉄槌を!」


恵麻のデバフの弱体化の影響もあり、億越えのダメージが光る石像に入る。だけど、当然のように、その一撃では光る石像は倒れなかった。しかし、それは想定内、僕は追撃のさらなる攻撃を放った。


「滅せよ!」


神撃の数珠の波状攻撃、いつもと違うエフェクトが放たれ、光る石像に襲い掛かる。ダメージは数千万と、ケンタワンドの威力には及ばないものの、なぜか多段ヒットする。10回以上の連続ダメージが高速で表示されていった。


「怯んだぞ! 一斉攻撃だ!」


恵麻のデバフ、僕の連撃により光る石像は大きく怯んだ。この隙を逃す手はない。全員が一斉に攻撃を放つ。


恵麻のデバフはやはり驚異的な効果を与えているようで、みんなの攻撃はかなりの高ダメージとなって光る石像を襲う。


あまりの猛攻に、耐えきれなくなったのか光る石像が倒れた。


「油断するな! ダンジョンボスがこの程度で倒れるわけないぞ!」


朝陽がそう叫ぶが、誰も油断などする者はいなかった。すぐに次なる猛攻に備えて構えていた。


だけど光る石像はそのまま起き上がることもなく、粒子となって消滅してしまった。メッセージにはレベルアップの知らせと、アイテムのドロップが表示される。


【UR】盾

【素材】光石の破片

【素材】天地の石材

巨大魔元石×3


「え? 終わったの?」

「勝ったみたいね」

「嘘だろ、ダンジョンボスがこの程度なのか?」


みんなあっけない終わりに唖然としていた。僕はゴンに文句を言う。


「ゴン、どこがとんでもない強敵なんだよ。確かに強かったけど、それほどじゃないじゃないか」

「ナニイッテンダ、バカマスター、イマタオシタノハ、ダンジョンボスナンカジャナイゾ」

「えっ!! そうなの?」


「イマノハ、タダノ、ゲートキーパー、ダ」

「ゲートキーパー!?」


「ポンコツ! そういうことは早くいえよ!」

「キカナカッタダロ?」

「俺たちの会話の盛り上がりとか、そう言うので察しろ!」


なんともどうやら倒したのはただの門番だったようで、ダンジョンボスはこの先にいるそうだ。


「たくっ、もう、こういうのはいねえんだろうな」

「コノサキニイルノハ、ダンジョンボスデ、マチガイナイゾ」


「それじゃ、仕切り直しだ。とっとと奥に行ってダンジョンボスを倒すぞ」

「あっ、ちょっと待って、出来れば少し休まない? いくらそれほど苦戦しなかったていっても、強敵と戦った後だし、せめてケンタワンドのクールタイムが終わるまで休みたい」

「そうね、いくらなんでも連戦でダンジョンボスは無謀だと思う」

「それにさっき出た【UR】盾も気になるわね。碧の盾は壊れちゃったし、代わりになるかもしれないから」

「なるほどな、確かにそうだな、だけど、休むにしてもここは安全なのか?」

「ボス級の部屋は、ボスを倒した後は比較的安全になることがほとんどだよ」


ということで、30分ほど休憩することになった。その間に、簡単なエネルギー補給と、さっきドロップしたアイテムの鑑定をすることとなった。

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2025年1月11日 08:00

余り者による最低ランクパーティーだけど、レアドロップ率2000%アップのユニークスキルと強運で最強にまで成長します RYOMA @RyomaRyoma

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