藍色の月 あとがきの章 それは…月の涙

 藍色の月……完結致しました。

 お読み頂いた皆さまには、心より感謝申し上げます。ありがとうございました。


 この物語は元々、今は亡きYahoo!ブログへ2008年1月から約7ヶ月間に渡り、連載していたものでした。(※)

 ※当時は【藍色の月】ではない別のタイトルでしたが、メンドイので以下【藍色の月】で統一します。


 主演の一人の“めぐみさん”の名前は勿論仮名ですが(他の登場人物も全員仮名)……2007年末にYahoo!ブログを開始して、一番最初に仲良くなったブロ友さん(僕と同い年の女性)が、めぐみさんの本名と、たまたま同じお名前だったのです。

 そのブロ友さんへは……

「高2の時に捧げた人が同じお名前でしたー」

 と、チラッと伝えたら……お住まいの場所もリアルめぐみさんと同じく、ウチの実家からチャリ距離との共通点にも共感なさったのでしょう……

「その物語、是非ぜひアップして~♪」

 とせがまれて……

「はいはい~。あったことをそのまま書いたらええねんな~」

 と、準備も覚悟も割と何も無いままに、連載を開始してしまい……以来、僕は彼女を「企画部長」と呼んでおりました。


 そんな「軽い気持ち」で始めた連載でしたが、書き進めて行くうちに……


「これは……真面目に綴らなければ、これらの物語を一緒に育んでくれた彼女たちに対して、申し訳が立たないのではないのか?」


 以降は「想いを込めて」……【藍色の月】脱稿後も、続く幾つかの連載を綴って参りました。


 時は経ち、Yahoo!ブログはブログ運営ごと廃止され、それらのノンフィクション恋物語は……ネット上から一切合切、消滅。

 移行したアメブロに於いてはありがたいことに、一部のブロ友さんたちより、第一弾の【藍色の月】からの再連載を乞われる声も頂いておりました。

 然しながら著者である僕自身は、中々その「スイッチ」が入らないまま、幾度かの季節が過ぎてしまいました。


 その後2023年12月……保存してあった連載時のWEBデータを読み返していて……

「売り込むにしても、描写が幼稚過ぎて全然ダメ! リニューアルするか!」

 と、一度その作業に取り掛かってしまえば……まるで彼女たちの魂に取り憑かれているが如くの真剣な心境での執筆が進みました。

 そうしてリニューアルされた物語は、ブログへの連載ではなくて……カクヨムへの初連載との運びとなりました。


 なんか……経緯説明ばかりで、つまらないあとがきですね。


【藍色の月】絡みのエピソードへと参りましょう。


 エピソードその一♪

 Yahoo!ブログへの連載が終わってから約3年後……全然関係のない目的で、クローゼットの上の方を探しておりましたところ、見つけた金属の箱の中に……『お手紙(着)』と書いてある袋を見つけました。

 その時なぜか……連載終了から3年近くも経っており、そもそも普段からめぐみさんのことを考えて生きているはずはないにも拘らず、なぜか僕の心へ勝手に浮かんだのは……

「まさか……この中にめぐみさんからの……?」


 開けてみると……とっくに捨てたのか失くしたと思い込んでいた『それ』が出てきたのです。

 そう……【第三十七章(最終章) 哀しみの千鳥ヶ淵】に於いて、ヴァイオレット・ムーン武道館公演の翌日に速達で届いた、めぐみさんからの最初にして最後の手紙。


 『それ』に拠り、当時の段階で……【藍色の月】の完結は『まだ』と言うことになりました。『それ』としっかりと向き合う為にも。

 何故ならば……そもそもこれらの『記憶』なり『想い出』たちは【藍色の月】に限らず……苦い、苦しい想い出を封印した“パンドラの箱”でしたから。

 然しながら……連載を始めてから割と早い時期に、気付いたのです。

 封印したから、苦しかったんだ……と。こうして執筆することに拠り、自分が見えてくるものなんだ……と。

 故に……あえて一度、パンドラの箱は開放し……記憶を好きなように暴れさせました。

 そして、それら一つ一つと向き合い、ケンカし、仲直りし……最後は自分自身と『同機』させ『自分自身』にしてゆくと。

 するともう……なんやらの箱に戻す必要など、なくなりました。


 因みにその当時の僕に……『ドミナント・ストーリー』やら『オルタナティブ・ストーリー』等々の『ナラティヴ・アプローチ』(※)の知識はありませんでしたが、知らず知らずのうちにそれを実践してしまったのでしょうね。


 ※ナラティヴ・アプローチに関してはここでは解説致しませんので、お手数ですがご自身でお調べ下さいませ。


 まぁ今回は……『記憶』や『想い出』などではなく、現物が『物』として、しかも本当に『箱から』出てきたというエピソードですからね。

 当時、改めて撮影取材……行きましたよ。


 連載中はウチの奥さんと……あ、奥さんも何編か後のノンフィクション恋物語には登場しますので「さゆりさん」としておきますが……さゆりさんとはタンデムで、バイクであちこち撮影取材へ行っておりました。

 因みにさゆりさんは当時、Yahoo!ブログでの【藍色の月】連載をすべて読破しており……内容はすべてご存知です。「あまりにも生々しい」という理由に拠りYahoo!ブログでは割愛された【第三十四章 月に秘められた…】のエピソードを除いては。


 あの朝……特に『別れ際』の記憶がはっきりしなかった。

 他にも色々と行った撮影取材のように、その現場へ行ってみれば……思い出すことも、確認することもできたケースは多かった。

 でもあの朝の……まず『場所』を覚えていない。

 恵比寿の街の早朝の空気……恵比寿の駅から電車……などは覚えているも、どこを歩いたのかを思い出せない。

 だからそれらは一度、諦めたことでした。

 手紙は捨てた。住所がわからない。撮影取材へ行きようがない……と。諦め切ることも、一つの決着のつけ方だから。


 ところが、当時『それ』が出て来たお蔭さまで、住所がはっきりした。

 そこで、決心したのでした。

「撮影取材……行けばいいんだ。いつも通りに……」

 と……行きました。見つけました。その住所を。


 ただ当時は……手紙に書かれていた住所の「〇丁目〇番1〇号」の「1〇号」が合わない……と言うよりも、その一角には「存在しない」……等々の『不整合』と言うか、完全に納得できない『謎』は残りました。

 残りましたが、しかし……今回リニューアル版の執筆にあたり、その当時の撮影取材で撮って来た写真を眺めながら……改めて甦って来た記憶、そして確信。


 あの場所で……あのアパートメントで、絶対に間違いない!


 撮影ではアパートメントの外観しか撮れなかったものの【第二十二章 記憶は空っぽにして】に於いて……4ヶ月半ぶりに再会しためぐみさんの部屋へ「このまま上がってしまう事がどんな意味なのか?」と躊躇ってしまい「ボケっと立って」いた……1985年当時に於ける玄関の光景が、鮮明に甦りました。


 更に決定打となったのが……【第三十五章 あとかたもなく】に描写された「表通りへの17段の緩い階段」でした。

 めぐみさんの部屋を出てからその階段を「駆け上がった」という記憶を思い出したのは……その当時の撮影取材に於いて、その階段を目の当たりにした瞬間であったことを思い出しました。

 故に……Yahoo!ブログ連載当時での該当の章には、その描写はありません。その頃は、その階段を「駆け上がった」件は、忘れたままだったから。


 前後しますが……住所の『〇号』に整合性を持たせるとしたらそれは……本当は『〇号』だった住所を、めぐみさんは「1〇号」だと思い込んでいて、そう書いてしまった……といったところでしょうか。

 そんな訳で……謎はすべてとけた! (金田一少年かよ)


 じゃなくて……めぐみさんばっかりではなくて、都子も……例えば、悲劇のきっかけとなったカフェのブラックナイト等々も、本来なら撮影取材の対象だったのですが……そこまで中々手が回らないままとなってしまいました。

 私的な件ですが、ウチのバカ夫婦は2019年の10月に、東京のマンションを売り飛ばして信州松本へ越して来てしまったもので、残念ながら首都圏での撮影取材はもう無いでしょう。



 続くエピソードその二は、ウチの娘絡みの件。(今は東京に残って社会人しております)


 またも……上記『手紙出てきた→撮影取材行った』時期ですみません。

 その頃ウチの娘は高校生で……『初めての朝帰り』をしやがったのね。

 しかもその年、娘は『17歳』って……パパと一緒じゃん♪


 そんなわけで、娘には……

「怒らないからちょっとこっち来い」

 と、LDKの食卓の椅子に座らせて……

「生徒会長と、うまくいっているみたいだね」

 ハッと息をのんで……「どうして知ってるの?」とでも言いたげな表情で、なにも答えない娘。

 娘のその当時の彼氏は生徒会長でしたが、そんなの親なら知ってて当然でしょ。


 そのまま続ける僕。

「パパもね……同じ17歳の時に初めて……朝帰りしたんだ」

「……そうなの?」

「その彼女からの電話を前日に取り次いでくれたのが、目黒のおばあちゃんだったから……一晩中なにをしていたかは判っていただろうね」

「……」


「ちょっとこれ読んで」

 と渡したのが……【藍色の月】の顛末を筋書き的に纏めたのをプリントアウトした紙。


 上記エピソードその一の経緯で、連載完了約3年後に関連記事を再度アップしたわけですよ。そんな3年前の連載なんてご存知ないブロ友さんも当然いらしたわけで……「こうこうこうした物語を3年前に連載していたのが前提ですよ」との説明の為に……『手紙出てきた→撮影取材行った』記事の冒頭へ、その筋書き的纏めを載せてあったのです。


 娘……なんという劇的タイミングで朝帰りしてくれたんだ(笑)

  

 娘がそれをひと通り読み終えてから……「話はここからだ」的な、いわゆる『肝心な部分』を補足しました。

 即ち上記、Yahoo!ブログでは割愛された【第三十四章 月に秘められた…】のエピソード部分。

 要するに「避妊はどうしたんだ」的くだりですわ。

 このあとがきだけを先にお読みの方がもしもいらした場合、ネタバレになるのでここでは第三十四章の詳細は述べませんが……娘にはその内容を伝えました。

 そのあとの会話。


「で……パパの時は、結果オーライだったけど、もしも万が一のことを考えたら……結構怖いでしょ?」

「うん……勝手にお泊りして、ごめんなさい」

「その紙、あげるよ。パパの恥ずかしい青春の物語(笑) 時々読んで、そこには書いていない『肝心な部分』のことも、思い出してね」

「わかった……本当にごめんなさい」

 

 そんな感じで……これって、いわゆる『性教育』とやらになったのでしょうかね?

 わかりません(笑)

 

 はい。あとがきへ載せるようなエピソードはこれくらいでしょうか。



 改めまして【藍色の月】……お読み下さいまして、重ね重ねありがとうございました。

 ヴァイオレット・ムーン……ハードロックバンドやメンバーのアーティストは時々登場しましたし、最後は武道館でしたが……ロックテイストはほとんど無い恋物語となってしまいました。

 ロックテイストを期待なさっていた読者の方には、ホントにごめんなさいでした。

 これに懲りずに、続くノンフィクション恋物語もご覧頂けたら幸いです。


 因みに、その「続くノンフィクション恋物語」の『第一次リニューアル作業』は既に済んでおります。Yahoo!ブログでの次作のWEBデータはちゃんと保存してあったもので。

 タイトルは……こちらカクヨムでは、どこにも明かしていないはずなので、今は控えさせて頂きます。


 時期は……この藍色の月での、5月のめぐみさんとの別れから数か月後の秋から。僕は既に18歳になっておりました。

 お相手のヒロイン……の、お一人は……細身長身な眼鏡の大学院生。

 そうです。またも年上で、しかもめぐみさんよりも、更に上(笑)

 もうお一人については、ここではまだ伏せておきます。


 カクヨムへ連載開始の際には、引き続き宜しくお願い致します。

 ありがとうございました!


                  令和6年(2024年)4月24日(水)

                            薄川零

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藍色の月 薄川 零 @reisusukigawa

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