SECTION4-5
「私が、人間化した人工知能を先祖に持ち、この青い光を発現した。つまり!アナタたちが人工知能を狙うのはこの力を何らかの手段をもってわが物にするためと推測します。8大武装宗教が突然姿を公にしたことからもこの力の価値は……、『夜』の覇権を握れるほどのモノ」
「ゼツコンゴウの家屋は世帯数の1割程度。他は夜間に侵入を許してしまうッ。いくらの罪な人々がオマらの毒牙にかかっていった?力という身勝手な野望のためにッ!」「クククッ。BORDERは絶対数が少ないからなァ!なすりつけられていいなァ!!」気概を一瞬で取り戻したソンカパが叫ぶ。
「モチロン平等に追及するさッ!守れない俺たちもッ!襲うオマエラもッ!絶対にオマエを逃がすことはできないッ!」ランドンが居丈高に言う!「いいだろう!覚醒!上等だッ!オレの憎悪にくべる薪になるのみよッッッ!!!!」ソンカパがついに教祖としての体面を捨てた!
(確かにコイツを倒せるかはわからん……。だが応援が来るまでは必ずもたせ、殺す……)「「行くぞッッ!!」」バビュンッッ!!シャルロット、ランドン、二人同時!反対方向にカゲロウを残しながら高速移動!戦闘再開だッッッッッ!!!!!(ムゥッ!シャルロットが格段に速くなッているッッッ!!!)
(オレと同じでアイオニウム発動と同時に、ドーパミン的高揚感が痛みをリセットしたかッッ!!その上で身体能力の向上ッッ!!敵に回せば何というクソシステムッッ!!まずはけん制ッッ!!)ねじり……。((!!あの技が来るッッ!!))技中、技後ともに強力な立ち回りが可能なソンカパの胴体ねじりダブルラリアットだ!!
(俺は止まるッッ!!シャルちゃんも同じ手を食う子じゃないッッ!!)(ええ!!)二人の心が、極限の戦闘により通い合っていた!バルォワンッッッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!再びの地獄コマ!ランドンは見極め停止!さすが!アゴ六連ももう喰らわないだろう……。
一方シャルロットは!?(ドコだ!シャルロット!しゃがみ対策はこの技において十分……ッッッ!?!?!?)ソンカパが驚くのも無理はない!そう!彼女はその一瞬で見切ッた!!腕の回転タイミングを八の字跳びが如く見極め……!(この女ッッッ!!!)鉄棒が如くッッ!!その太い腕につかまりやがッたッッッ!!!
回転が止まるッ!目を回さず華麗に着地してからの、脇腹へ拳!身長差を逆に有利に働かせるのだ!「グォッ!!」ソンカパ、コレを喰らいながらも、「アッ!」アイアアンクロー!顔面をワッシリ掴み地面に叩きつける!瞬間背後からランドンの飛びかかと落とし!
背後からのコレに機敏に反応!ソンカパ避ける!シャルロット地面に伏せた状態より拳!腕が伸び切る前に側面からはじく!すさまじい反応速度!が!少しの時間差もなく、もう片方の拳が飛んだ!「チッ!」コレをのけ反り回避!合わせてランドンの後頭部蹴り!「グワガッ!」マトモな一撃が!入った!
ひるんだ隙に二人は素早く飛び離れ、体勢を立て直す。(フン!てこずらせやがッて!既にシャルロットは回収し撤収の手筈だッたのに!だが……今の体さばき……、ランドンとほぼ同レベルといったトコロ。ベテラン二人……、いける!!)「「オオオオオ!!」」両側より疾走し、ソンカパに二人が迫る!
(悠長にしている時間はないッッ!!だが!)ランドンのハイキック!スレスレの角度でかがむ!同時にシャルロットのストマック目掛けたストレート!「無駄よ!」極軟化させて筋肉でマトモにくらう!反発で後ろにのけぞり頭突き!そしてダメージというよりは相手を遠ざけるための小ぶりな動作の払い!二人をわずかに後退させる!
ランドンしゃがみからの軸足刈り!タカタンと軽快なステップで乗り越える!シャルロットが素早く側面を取り連打!硬化で受け!またもダメージ無し!頭部を狙った二人のハイキック!両方とも硬化したアームハンマーで迎撃!タオンッ!地面に叩きつけられる!「グッ!」
(攻めを捨て、受けに集中している!時間制限に対して、焦りがない!加えて発揮されるとてつもない対応力!覚醒すりゃ勝てるってモンじゃないぞ!)(フム、段々とパターンがつかめてきたぞ……。ココから一分かけて全ての行動に対する反撃のプロセスを組み立ててやるッ!)アルコールで歪む視界にも強烈な吐き気にも焦らない!勝負を急がない男は!強いぞ!
受ける!受ける!受ける!ソンカパの脳内はコレまた死地によッて加速し、未経験の世界を彼自身に見せていた。未曾有の全能感!興奮!だが!シャルロットたちも無策でいつまでも攻め続けるワケはない!コレからためすのは!ズバリシャルロットの力がベテラン並みに一時的向上したことによる本領!二人は目を合わせ、互いの意図が一致しているコトを確認する。
二人は、耳を澄ませた。そして聞く。何を?言わずもがな、互いの呼吸のリズムである。スァー、フゥー。フゥッ、スゥー。呼吸のリズムが二人で違っている。これではダメだ。注意深く耳を澄ませ、神経を研ぎ澄まし呼吸のリズムを段々と合わせる。かつ、攻撃の手を緩めない正に神業……!
(ン?)ソンカパが若干の違和感に気づく。だがまもなくプロセスは完成する。邪念で遅らせるわけにはいかない!しかし!完成間近なのはBORDER側も同じなのだ!スァー、フゥー。着実に合致してゆく、二人の呼吸。先に完成を見るは、(コチラだッ!)定刻は今!カッ!と光が幻視され、その衝撃を伝える!
ガギャォッッッッ!!!!!
「!?」攻撃が、当たっている!「チィィ゛ッッッ!!!!」そう、二人は呼吸のリズムを完璧に合わせ、寸分の狂いもない同時攻撃を繰り出したのだ。言うまでもないことだが、同時に全く違う箇所に攻撃を繰り出せば、一発は当たる!一撃は後頭部!一撃は足払い!コンマのずれもない完全合致の絶技!
(そうか!身体能力が向上したコト!よりも!驚異なのは、シャルロットがランドンについていけるコト!『互いがマックスの動きをしながら連携できるようになったコト』!)頭蓋に走る確かな痛み!パーフェクトコンビネーションは互いの威力を殺さぬままダメージを叩きこむ!(頭に確かなダメージ!アルコールもドンドン来やがる……)もはやオマエも!当たって砕けるしかない!少しずつ追い詰められていくのがわかるか?ソンカパァ!!
(追い詰められる?バカなッッ!!男のピンチはよォ!)ソンカパの目が憎悪に血走る!ヴォリュームのある白髪が逆立つ!全身の筋肉に血管が憎しみを描くッッ!!青いオーラも一層濃く!燃え上がるッッッッ!!!!(ココからがオレの究極体よッッッッッ!!!!!)(極まったな……!互いに!この山を越えたものが!勝利の手前に躍り出るッッ!!)ランドンは思う!
完全なタイミングの攻撃は続けて出せるものではない。呼吸を再び合わせ始める!だが今度は!先ほどよりも厳しい条件だ!「ヌガァァァッッッ!!!」手負いの悪鬼が最も恐ろしい!狂気の面をかむりて襲い来るッ!叩きつけるようにシャルロットを狙う拳!バックステップ回避!差し出された顎部に蹴り上げ!
ギャゴッッ!入った!が!……ガシィッッ!「何ッ!?」もはや捨て身!弱点を差し出すコトで攻撃を通す!足を両手でつかみ、振り上げ、叩きつける!「ギャグッ!」「ハァッ!」ランドンが側面から腕を蹴る!バチィッ!すさまじい蹴りの威力!掴んでいる手をはじき飛ばした!「シャァッ!」果敢に連続で仕掛ける!
アゴへの回し蹴り!ローキック!ミドル!対するソンカパも隙を縫うように拳!掴み!蹴り!一歩も引かぬ技の応酬!単純戦闘力のぶつかり合いでは……ガジョッ!「アグッ!」ランドンの右肋骨に拳が入る!ソンカパの方が当然強いッッ!!長くはもたない!
その間にシャルロットは体を起こす。(大丈夫。耐久力も上がってる。まだ、戦えるッ!)「任せてッ!リスクは飲むッッ!!」ランドンはそンなシャルロットを見て思い出したようにうなずき、後退!「何だァ!?近接じゃァ分が悪いかランドンッ!」ソンカパが追いかける!
(ランドンさん!ありがとうッ!)ランドンがシャルロットと同じくらいまで後退してきた!シャルロットは直立不動!動かない!「お疲れ様だなァシャルロットォ!」ソンカパが威圧感で何倍も大きく見える!だが!シャルロットは視線を外さない!マッスグ!見据える!ランドンはついにシャルロットの真後ろへ回る!
「サンドバッグになってくれるなら……」ズブォッ!ソンカパが上半身を振り上げた。「喜んでッ!」ゴアチュッッッッッ!!!!!全力の頭突き!「ッ゛ッ゛ッ゛!」鼻血を噴き出し、悶絶しながらも、シャルロット!不動なり!そして彼女の狙いはそう!
『新技のお膳立てとかいるかい?』『どうしてもの時は、お願いします』
アレがッ!遂に放たれるというのかッ!刹那!シャルロットの脳裏に正光のアドバイスがよぎる!『シャルロットは投擲技術に代表されるように、腕の筋肉、力の入れ方がうまい。ソレは相手を押し倒す技に応用できると思うね。合気のような筋肉の反射ではないが……、相手の力をも利用して……』
タカッ!足を払った!ソンカパがバランスを崩す!(だがこの程度では……)そして……、パァン!(何だ?張り手?いったい何を……)(腕全体に分散する力を・・・、爆弾を投擲するときのように……、ソレよりもさらに一時的に、瞬間的に・・・)グォン!ほほに手を付けた状態から、回した!(腕先に全て込める!)その名も……。
独鈷所返しッッッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!
[TOKKOSYO-GAESHI]
つまり足があった位置に頭が、頭があった位置に足が!来るように回転させたのだ!多少のバランス崩しなら意にも介さないソンカパ、コレにはさすがに狼狽!そしてこの技はコレだけじゃ終わらない!この技の素晴らしさ!ソレは、一定時間!相手が完全無防備になるコト!「ハァーッ!!!!!」ランドンも技を存分に出せる!反撃の可能性が高い大技を!存分に!返されて浮き上がったソンカパの頭!ちょうどいい位置だ!
守破離三段酒盛りッッッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!
[SHUHARI-SANDAN-SAKAMORI]
足の甲で一蹴り!足先で一蹴り!足裏で一蹴り!計三段の蹴りを滑らかに移行!一度にダメージと大量のアルコールを叩きこむ大技!浮き上がった頭部に!完璧に決まった!「ギァ゛ァ゛ッッッ゛ッ゛!!!!!!」ソンカパ絶叫!戦闘の恐ろしさ!弱点への痛烈な攻撃一発で一気に窮地!決着は……近いか!?ソンカパもココで引き下がる憎悪ではない!「グゴァ゛ッッッ゛ッ!!!!」シャルロットの悲鳴!
倒立姿勢に素早く移行してからの振り下ろす蹴り!「まだま゛だ練度がひぐいなァ゛ッ゛ッ゛!!」狂っている!笑みが正気のソレではない!「黙れッ゛ッ゛!!立つ!絶対に!意識を手放ざねェ゛ッ゛ッ゛!!テメェにかける命なンざッ!誰も持ってねェッ!」シャルロットのまとう青が少し濃くなる!
互いに体力はわずかか。ソンカパが素早く起き上がり!「ヌゥオ゛オオオ゛オオォォォォ゛ッ゛ッ゛ッ゛ッ゛!!!!!!!!!!」憎悪最大!最強の一撃!予備動作は大きいが!シャルロット頭部を二度も強打されたシャルロットは!もう避けるのに体力をさけない!「死ねェ゛ェ゛ェ゛ェ゛ェ゛ッ゛ッ゛ッ゛ッ゛!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
MAX硬化ダブルハンマー!振り上げた両腕がシャルロットに突き刺さ…………「ドォラァッッ!!」ランドンが片足を振り上げぶつける!ボギィッ!!足は確実に折れた!「邪魔!」「さらに邪魔をするッッ!!オ゛オ゛ラ゛ァ゛!!!!!」もう片方の足!意地で振り上げ、押し返した!「行け!シャルちゃんッッッ!!!」
(そンな緩慢な技!二度と喰らうコトなど!な!?)視界がぐにゃりと歪む!極限のこの状況!撃ち込まれ続けたアルコールに耐えていた意地の壁!ソコに穴が開いた!(バカなッ!こンなコトがッッ!!)パァン!「もう一丁……!」グルンッ!独鈷所!「グォォォォォォォ!!!!!」
(次は完遂するッッ!!)ランドンも意地!!呼吸が!完全に合う!二人のマックスを同時に!互いの威力を殺すことなく100パーセントで!叩き込む!全力の前蹴り!全力の左掌底!「ヌォ゛ーーーーーーーーッ゛ッ゛ッ゛ッ゛!!!」
ソンカパが吹き飛ぶ!シャルロットの右手から、排出される爆弾!
喰らうがいいッッ!!「ズォリ゛ャ゛ァ゛ッ゛ッッッッッ!!!!!!!!」キィーーーーーーーーーン!!マッスグ飛んでいき……………………………………
ドマオンガッッッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!
必殺の!コンボッッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!
シャルロットは膝を着く。ダメージは重篤。特に頭部に重いものを何発も受けた。ランドンも片足が折れており、長くソンカパの攻撃をしのいだ跡も至る所に見受けられる。二人ともスーツは所々裂け、隙間から流れる血がスーツを赤く染めている。二人とも、よく頑張った!ねぎらいで終わりたいトコロだが……やはり……。
「ウギィ……、ギギギィ……」煙を破って、体中にひびの入ったソンカパが歩み出る。滝のようにひびから血が滴る。そう、全身を硬化させることによって、はじけ飛ぶのを防いでいるのだ。「爆弾は、確かに扱いの難しい……、ッ、オーパーツだが……ブハァッ。当たれば、確実に致命的。アツイバトルのときゃァ、しらける武器だァなァ」アルコールでフラフラと足取りはおかしい。目も虚ろだ。
「悪あがきだな……」ランドンが吐き捨てる。「そうさァ。生き残ってやる。肉も繋げて……、今度こそ、キサマらを殺しに来るぞッ……!カスどもがッッ!」「いいや、その時は来ない」シャルロットがわずかに笑んで言った。その言葉で、思い当たる可能性は一つ。「エ……?」「時間切れだ」
クァンクァンクァンクァン…………
何かが!黒い何かが!夜空を切って飛んでくる!そして!ギャゴッッ!!「ッツ??」視界がさらに揺れ、ソンカパは地面に倒れこむ。飛んできたソレが彼のアゴを正確に打ち抜いたのだ。遅れて、飛んできたモノの主も到着した。「本当にすまない。そして、本当に、よく耐えたッ!ランドン!シャルロット!」「マッ……マサミツ・ツブラヤ……!」「ワシもいます」「アタシも」「チクショウ……」
正光が涙目で二人を称えた。(ウワ、初めて見たな。この人の涙……)(何だッ!?何がオレを打ち抜き……)キャコン。周りを見渡しても問題の物体は見当たらない。(クソッ!マサミツ!何をしやがったッ!こンなコトッ……いや……もういい……、失敗か)「申し訳ありません。運よくこれほどの上物も見つかったというのに……、何の成果もッ……ゴォッ、挙げられず……」ソンカパが嘆く。「フン、成果なら大いにあったさ」ビリーヴンがモニター越しにつぶやく。
「これほどの上物、つまり『アイオニウム』の含有量が他よりも多いいわゆる『激情個体』、さらにはソイツが正義の塊『BORDER』……。この女ひっとらえて吸収すれば、オレは一気に、アジアの支配に王手をかけられる。そして他の8大武装宗教……、ア、もうすぐ7大か、に対するアピールもバッチリだろう。オレは満足だよ。爆破はしないどいてやる」
「さて、その青いオーラ……。前にシャルロットが言っていたものと同じならば、オマエも話を聞こうとした途端爆発するのかな?」正光が問う。「その上で、何か知らないかい?」心底バカにしたような笑みでコフラクジョウが問う。「オマエラは、死ぬぞ。一人残らずな」ソンカパが吐き捨てる。「アタシたちが殺すんだよ。一人残らずな」
エメラルワが言うと、ソンカパはため息をつき、奥歯を噛み締め始めた。グギリ、グギリ、アギリガリッッ!!BORDERがいると、燃え上がってしまう。その顔には最後まで、ハッキリとした憎悪が残っていた。その憎悪で、何度だって!立ち上がっちまうんだ!「死ねェ゛ッ゛ッ゛!!BORDERァ゛ァ゛ーーーーーーーッ゛ッ゛!!!!!」
ザグッ!心臓に刃が突き立てられている。ソンカパは一瞬、冷静にソレを見つめた。正光は深く埋まった刀を!真上に!引き上げたッッ!!!ズパァーーーーーーーーーーッッッ!!!!!正中線に沿って、ソンカパ、真っ二つ!!
「オゴォォォォ゛ォ゛ォ゛ポォ゛ォォォ゛ォォォォンッッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」ソンカパの体は青をまき散らしながら、弾けた!
アジア8大武装宗教 仮面差別付与組織 ノウメン 教祖含めほぼ全メンバー死亡により壊滅 残り7団体
――――――――――――――――――――
絶叫は「夜」に生きるものたちに、確かにただならぬ事態を伝えた。一瞬、何かに期待した者たちもいたが、老獪たちは聞こえた声がBORDERのモノではないコトを一瞬で把握し、下らぬ命が散ったコト、つまり日常茶飯事からさっさと目をそらした。偉大なる8大武装宗教の死を悟ったのは、ハッキングされたカメラや、ノウメンのスパイ、ソレを通してみる「同じ格」のモノたちが主であった。
IRON BEEKは未だ歌い続けている。CメロがCD音源と全然違う。ソレはもう、ジャンルまで違う。一応ライブが続く間を武装イリーガルどもはタイムリミットと決めているのだが、今年は既に諦めのムードが立ち込めていた。何かヤバイ戦争。BORDERの死者は一人も出なかった。武装イリーガルたちは改めて彼らの化け物ぶりを感じ、到底無理なゲームに白けたのだ。
正光が二人を担ぎ上げた。「本当に、マジでッ!よく頑張ったッッ!!」「センパイ、そンな感情あらわにするコト……、あるんですね……」「正光はすぐ泣くのよ。情に厚すぎんだよなァこう見えて。モチロンアタシも超心配したぜ」エメラルワがサムズアップ。健闘を称える。
「ケガなおったらおごっちゃる!」コフラクジョウも喝采だ!無事、8大武装宗教が一つを壊滅させるコトに成功した!パルルルル。幾人かの通信機が鳴る。隊員からの安否連絡&確認だろう。間もなく皆帰路につく。支部長コフラクジョウが全員に向けて通信する!「皆の尽力により、無事ミッション達成となりました!後処理にまかせっきりにしないように各自!なるべく綺麗にして帰ってくださーい」
「カァァーッ、眠っちゃってもいいですか」「もうランドンは気絶してるよ」「では、お先に失礼……」シャルロットは意識を落とす。疲労と、痛みと、確かな達成感、そして不安感の中に。あの青い光を発現してしまった自分はどうなる?アジアに何が起ころうとしている?そして自分を担ぐ男の暖かさを思う。
(でも、きっと乗り越えていける。アジア支部の皆の輝かんばかりの正義。その威光に、焼き尽くされない悪鬼などいないのだから。最強の武装イリーガル組織、BORDER。私はその一員なのだから……)言い聞かせるように思った。
シャルロットの活躍を誰かが見ていた。ソレはランドンであり、迎えに来た偉大なる先輩たちであり、邪悪の目でもあった。何にしろ、彼女の意思が見届けられた。ソレは新たな争いの火種を呼ぶだろうが、同時に、期待の大型新人に励まされる黒スーツたちの新たな力の源でもあった。彼らは決して折れぬ。皆で、乗り越えていくのだ。IRON BEEKの歌詞にも、そンなフレーズが多くあった。
CHAPTER4 おわり
BORDER Tales of Asian justice and insanity @uedamitsuki
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