第4話 旅の始まり - 音痴の発覚
カイルは、エドモンドの助けを借りて、星々の歌を学ぶための第一歩として、自分の声を試すことにした。賢者の家の裏庭にある小さな庭で、エドモンドは彼に基本的な音階の練習を始めるよう指示した。カイルは心躍る思いで、この練習が星々の歌に一歩近づく鍵だと信じていた。
しかし、最初の音を出した瞬間、カイルの期待は打ち砕かれた。彼が出した音は、はっきり言って音痴そのものだった。彼が一生懸命に音階を上がっていくごとに、その音はますます不協和音になっていった。
エドモンドは、最初は優しく微笑んでいたが、次第に顔をしかめ、最後には苦笑いを浮かべるしかなかった。カイルは自分の出した音に愕然とし、顔を赤らめた。
「賢者様、こんなことで... 星々の歌なんて、僕に歌えるわけがないじゃないですか。」
カイルの心は失望と恥ずかしさでいっぱいになった。彼は、自分が星々の歌を復活させる選ばれし者であるという考えが、ただの間違いだったのではないかと思い始めた。
エドモンドはカイルの肩に手を置き、慰めるように言った。
「カイル、音痴であることは恥ずかしいことではない。そして、それが君が星々の歌を復活させる使命を果たせない理由にはならない。星々の歌は、ただのメロディ以上のものだ。それは心で感じ、魂で理解するものなのだから。」
カイルはエドモンドの言葉を聞きながら、自分の中で何かが変わり始めているのを感じた。はじめは自分の能力に疑問を持ち、恥ずかしさと失望感でいっぱいだったが、徐々に新たな決意が心の中で芽生え始めていた。
「賢者様、ありがとうございます。音痴だからと言って諦めるわけにはいかないですね。星々の歌を、別の方法で理解する必要がある... それに、他にも助けてくれる人がいるかもしれません。」
カイルは、この挫折が自分を成長させる機会であると受け止めることにした。彼は星々の歌を復活させるために必要な、他の資質や仲間を見つけることに焦点を変えることに決めた。自分一人の力に頼るのではなく、仲間と協力し、共に目的を達成することの大切さを理解し始めたのだ。
この決意のもと、カイルは新たな旅の一歩を踏み出した。彼は、星々の歌を探し求める旅において、仲間を見つけ、共に成長していくことを心に誓った。この瞬間から、カイルの旅は単なる冒険ではなく、自己発見と絆の旅へと変わり始めていた。
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