第3話 運命の呼び声 - 使命の受諾

朝の光が窓から差し込む中、カイルは賢者エドモンドの家へと足を運んだ。エドモンドの家は村のはずれ、古い森の入り口に位置しており、彼が長年にわたって集めた書物や奇妙な遺物で溢れていた。ドアをノックすると、中から賢者の温かくも少し掠れた声が聞こえてきた。


「入りなさい、カイル。君が来るのはわかっていたよ。」


部屋に入ると、エドモンドは古い椅子に座り、優しく微笑んでカイルを迎えた。カイルは巻物を取り出し、賢者にその予言を見せた。


エドモンドは巻物を丁寧に広げ、古代の文字を眺めながら深くため息をついた。


「星々の歌か... この予言は古く、多くの者がその真実を探してきた。しかし、選ばれし者が現れることはなかった。まさか、この時が来たとはね。」


カイルは賢者の言葉に心を動かされつつも、不安と疑問でいっぱいだった。


「でも、なぜ僕が選ばれるんですか?本当に、僕に何かできることがあるんですか?」


エドモンドはカイルの目をじっと見つめ、重々しく言葉を紡いだ。


「選ばれし者とは、特別な力を持って生まれたわけではない。大切なのは、心だ。星々の歌を復活させる力は、君の心の中にある。君の純粋さ、勇気、そして冒険への渇望が、この使命を果たす鍵なのだ。」


カイルはエドモンドの言葉を胸に刻み、自分の心が導くままに行動する決意を固めた。彼は自分がこの旅を通じて何を見つけるのか、何を学ぶのかを知りたいと強く思った。


「僕は... 僕はやります。星々の歌を見つけ出し、世界に調和を取り戻す。どんな困難が待っていても、進み続けます。」


エドモンドは優しく微笑み、カイルの肩を叩いた。


「その勇気があれば、君は必ず道を見つけ出すだろう。僕も君の旅を全力で支援するよ。まずは、君がこの使命に必要な知識と準備を整えることから始めよう。」


その日、エドモンドはカイルに古代の言語や星々の歌にまつわる伝説、そして過去にこの予言を追い求めた者たちの物語を教え始めた。カイルは、自分が立ち向かうべき運命に一歩ずつ近づいていることを感じながら、学びの旅を始めた。


カイルの心にはまだ不安が残っていたが、エドモンドの言葉とその優しい眼差しは、彼に勇気と希望を与えていた。カイルは、この旅が自分をどこへ導くのかまだ分からない。しかし、一つ確かなことは、彼の運命はもう変わってしまったということだった。そして、彼はその運命を受け入れ、星々の歌を求めて、未知の冒険へと歩み出す準備ができていた。

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