第5話 旅の始まり - リーナとの出会い

カイルの足取りは軽やかだった。エドモンドの家を後にして、彼は自分が歩むべき新たな道を探求するため、エメラルドの森へと向かった。森はアーリアでも最も古く、神秘的な場所の一つで、古代エルフの伝説が今も息づいていると言われていた。カイルは、もしかしたらこの森で何か手がかりを見つけられるかもしれないと期待していた。


森に足を踏み入れた瞬間、カイルはその静けさと美しさに圧倒された。木々の間を流れる光、鳥たちの歌声、そして風に揺れる葉のささやきが、彼に歓迎のメロディを奏でているようだった。しかし、そのすべてを凌駕するような、一つの歌声が突然、空気を切り裂いてカイルの耳に届いた。


それは、一人の女性のエルフの歌声だった。


カイルは思わず立ち止まり、その美しい歌声に耳を傾けた。声は澄み渡り、森全体がリーナの歌に包まれているかのようだった。彼女の歌は、ただのメロディ以上のものを持っていた。それは、自然そのものの声のようで、聞く者の心を深く打つ何かがあった。


カイルは、無意識のうちにその歌声の源へと引き寄せられるように歩き始めた。木々の間を縫うように進むと、やがて小さな清らかな泉が現れ、その傍らで一人のエルフの少女が歌っているのが見えた。彼女は目を閉じ、全ての存在と調和するかのように歌い続けていた。


カイルは息をのんだ。彼女の美しさと、歌声から感じる力に圧倒された。彼女が歌を終え、ゆっくりと目を開けると、二人の目が合った。彼女の目には驚きがあったが、同時に深い静けさと理解があった。


「私はリーナ。あなたは...?」彼女の声は歌う時と同じく、穏やかで心地よかった。


カイルは少し緊張しながらも、自分の名前と、星々の歌を求める旅の目的を話した。彼女は静かに聞き、彼の話に深い関心を示した。


「星々の歌... 私もそれについては聞いたことがあります。あなたの旅に、私も何かお手伝いできるかもしれません。」


リーナの言葉に、カイルの心は希望で満たされた。彼女の歌声を聞いた瞬間、カイルは何か特別なつながりを感じていた。リーナが彼の旅に加わることを受け入れてくれたことは、彼にとって大きな力となった。


リーナとの出会いは、カイルにとって新たな旅の始まりだった。彼は自分一人ではなく、リーナという素晴らしい仲間と共に、星々の歌を求める冒険を続けることになる。この出会いが、彼の旅にどのような影響を与えるのか、その時のカイルにはまだ分からなかったが、彼はこれから起こる全てのことに対して前向きな気持ちでいっぱいだった。

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音痴の僕が歌の上手な仲間を募って世界を救う旅に出ました 青木タンジ @sakaaaaaan

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