『サンタクロオスの話』
昨日サンタクロオスが来ました。
夜中にふつと目覚めて、水を飲まうとキッチンに行つたら、サンタクロオスが水を飲んでゐました。
「やあ、水を飲ませてもらつてゐるよ」
サンタは見たまんまのことを云ひました。一応、相手はサンタなので、「あ、どうぞ」と僕は応へました。サンタはコップに水を入れては飲み入れては飲みしてゐます。しばらく沈黙が続き、ちよつと困惑してきた頃、サンタが蛇口を閉め、水を飲むのをやめました。僕は《今だ》と思つて、
「まだクリスマスぢやないですよね」
と聞いてみました。するとサンタは目を見開き、口をガバと開け一瞬凍りついたやうになり、直後なぜか腕時計をチラと見たり、挙動不審な動作をやつた挙句、
「マジで!?」
と叫んで、ボワンと消えました。
(了)
芥川龍ノリスケ短篇集 黒田一択 @kurodaittaku
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。芥川龍ノリスケ短篇集の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。