第2話 フナフナららら①

「うわああああ!!」俺の釣り竿に大物がHITし、思いのほか強く引っ張られ危うく、自分ごと水の中に引きずり込まれるとこだった…何とか体勢を整え、どんどん陸へと竿を持っていき、岩に足を引っ掛け、そして全ての力を振り絞って、感覚では50センチはある、竿が大きくしなる、今にもバキッと折れてしまいそうなほどに、汗が頬をつたる、腕はもうパンパンだ、やっとの思いで釣り上げ、竿の先をみんなで見てみると…そこには5センチにも満たないとてもちいちゃなフナの姿があった…

「あたしんちの、フナの中でも最小クラスだね、こんなの片手で釣れちゃうよ〜」

鶴屋さんにはマウントをとられ

「かわいいフナですね〜でも頑張りは、最大サイズでしたよ〜ただちっちゃかっただけですよ~」

朝比奈さんにはフォローになってないフォローをされて

「ほんっっっとにアンタはダッサイ男ねぇ~みくるちゃんのほうが大っきいの釣ってるわよ、まったくいっつもキョンは……」

ハルヒの罵声を聞き流し 

「なかなかの演技でしたよ、あのサイズのフナをあそこまで大物に見せるとは…流石ですね!」

爽やかに皮肉を言ってくるこいつは悪魔なのか?

ちなみに長門は黙々とフナを釣り上げ続けている。

激戦の末釣り上げたフナは、ピチピチと尾を振りながら頑張って水の中に戻ろうとしている、流石に可哀想なので、リリースしてやった。

「大っきくなって帰ってこいよー」

これだから、ハルヒの突然の思いつきは到底ロクでも無いのだ。そんなことを思いながら、朝比奈さんが釣り竿にエサをつけることに苦戦しているところを眺めながら、今日のことを思い返していた。




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涼宮ハルヒの若夏 鬱々空穂 @ututuutubo

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