涼宮ハルヒの若夏
鬱々空穂
第1話 アンナチュナルな日
最近、ハルヒの気分が良くない概ねホワイトデーのお返しが気に食わなかったのだろう、そんなハルヒをよそにお茶を淹れてくれている朝比奈さんのメイド姿を見て癒やされながら古泉持参のゲームで遊んでいる、長門はというと角で分厚い本を読んでいる最近の流行りはレ・ミゼラブルらしい。革命でも企んでるのだろうか?ハルヒでもないし心配しなくてもいいだろう。まあ、ハルヒが静かなこと以外はいつものSOS団と何ら変わりのないいわゆる日常というやつだ。
「キョン、今すぐフナ釣りに行くわよ準備しなさい!」難問を解いたと言わんばかりに飛び立ち指を指しハルヒは言った、さっきの不機嫌な顔は何処へやらハルヒの笑顔には不覚にも来るものがある。この吹っ切れた顔は間違いなく厄介事を考えてる。あの不機嫌そうな顔はホワイトデー何か関係なく、厄介事を吹き出す、噴火前の顔だったのだ、なぜこれに気づけなかったんだ、
「ちくしょう、」
思わず声に出てしまった。
「まだまだ、逆転のチャンスは残されていますよ。」
古泉が爽やかに漏らしてしまった言葉に反応する。
そして、しっかり古泉を負かしたあとに俺はハルヒに聞いた。
「しかし、なんで急にフナ釣りなんだよ」きっとハルヒのことだ何かを企んでるに違いない。すると、廊下を走る音が聞こえてきた、その足音は文芸部の部室の前でピタリと音が止まり勢いよく鶴屋さんが飛び出してきた。
「ハルにゃ〜んあたしん家で開催するフナ釣り参加してくれる気になったかい?」
この部室に盗聴器でも仕掛けてるのかと思うくらいのタイミングの良さだ。きっとハルヒのことだ、テレパシーでも送っているのであろう。そうでもないとあのタイミングの良さは説明がつかない。
「私の家でフナが大量発生しちゃって、そこでハルにゃんたちに釣ってもらおうってわけさっ、あとみくるっの釣ってる姿を見たいのもあるからね」
やはりいつも通り鶴屋さんが名誉顧問として仕事している。朝比奈さんの釣りする姿は見たいので、今回は鶴屋さんに頭が上がらない。しかし本当に何者なんだ、そしてフナの大量発生って何なんだ、やれやれまた日常から離れてしまうかと思うと、このほのぼのとした日常が急に恋しくなってきた、だが同時に夏に向けて俺が走り出している気がしてならなかった。それはつまり、俺の平和な日々は終わりを迎えることが今ここで確定してしまったのである。今はただ黙々と本を読み進めている長門を見続けるしかなかった。
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