第68話 エピローグ

 ジーンはノア達集まった人達に自らの計画を話した。千年前に絶滅したアルファ種を復活させ、平和で別種が共存する世界を再構築するのである。


 誰もがジーンの壮大な計画に唸り、そして納得した。マーキュリーがジーンに訊く。

「今度は平和な世界が作れますかね?」


 ウミが近寄ってきた。ジーンをじっと見つめてからみんなに叫ぶ。

「この人の計画は上手くいく! 私には見える」


 ジーンが驚く。

「この子、まさか予知能力があるの?」


 ノアが言った。

「どうもそうみたいなんです。この子以外にも変わった能力が……」


 リズがジーンに言う。

「あのソラっていう男の子は遠隔透視能力があります」


 ジーンはそんな子供達を見て、千年前に新種ベータ1を襲った不幸を思い出し、そして新たに決意を立てた。マーキュリーの方を向いて答えた。


「もう、あんな間違いはさせないわ。人種差別は絶対に起こさせない」


 マーキュリーの真剣な顔を見ていたジーンがふと気が付いた。


「あれ、マーキュリーあなたの目をよく見せて」


 ジーンはマーキュリーの目を観察した。そして言った。


「あなたの遺伝子検査をさせてくれない? えっと、それからウミちゃんとソラくんも」


「はい、いいですが……」


 ジーンは停戦交渉の後のことを思い出した。彼女は自分の卵子とアルファの精子で対外授精を行い、代理母に出産を託した。


 マーキュリーの遺伝子検査の結果は予想通りだった。彼女はジーンとアルファの直系の子孫であったのだ。子孫がメレオン島を出たのであろう。道理で似ている訳である。


 さらにソラとウミを検査した結果にも驚いたジーンが説明する。


「マーキュリーさん、ノアさん、ソラとウミは新しい種です。いわばガンマとでも言うような……」

 

 今、ガンマという第3の進化種が生まれようとしている……



 ◇ ◇ ◇


 種の進化に争いは必要なかった。自然に身をまかせ、協力し合うべきだった。


 美しい自然は、いつの時代も進化を優しく見守ってくれるのである。




    了



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これでβ/SWITCH OVERは完結となります。

最後までお読みいただきありがとうございました!

三杉みすぎ れい

2024.5.26

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