悪夢
「ここの髪、ちょっとだけはねてるね」
「え、ほんと?寝癖かな」
「はい、これではねてる髪とめなよ」
「なにこれ!かわいい~!どこで買ったの?
この、」
猫のピン。
_____________________________________
目が覚めると、ぼやけた自室の天井が見えた。
…また、泣いている。
最近、毎日姿のぼやけた同じ人物が夢に出てくる。
ぼやけているが、仕草や声で全ての夢が同一人物だと最近判明した。
悲しくもない、つらくもない。
なのに何故、私は朝起きたらいつも、涙を流しているのだろうか。
私は、重い体をベットから起こし、朝食の香りがするリビングに向かった。
_____________________________________
「今日の夢、すんごいイケメンが出てきてさあ。
まじで最高だった。」
私の机に椅子を向かわせ、弁当を食べている彩がそう言った。
夢の話題でふと今日の夢を思い出し、私は口を開く。
「夢といえばなんだけど、私最近不思議な夢みるんだよね」
「えー、どんな?」
「毎日同じ人が出てくるんだ。しかもその人、毎回姿がぼやけてて。
おまけに朝起きたら私絶対泣いてるし。」
彩の瞳孔が少し開いた気がした。
「でも、なんか懐かしい感じがするんだよね」
彩が箸を止め、さっきより大きい声で言う。
「…そうなんだ。と、ところでさ、今日提出の数学の宿題終わった?」
「…え?お、終わってるけど…」
「よ、よかったあ。私終わってないから写させて」
無理矢理、話をそらされた気がした。
失念と幽霊 雨音 @amane0625
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。失念と幽霊の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます