悪夢

「ここの髪、ちょっとだけはねてるね」


「え、ほんと?寝癖かな」


「はい、これではねてる髪とめなよ」


「なにこれ!かわいい~!どこで買ったの?

 この、」







猫のピン。






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 目が覚めると、ぼやけた自室の天井が見えた。

…また、泣いている。


 最近、毎日姿のぼやけた同じ人物が夢に出てくる。

ぼやけているが、仕草や声で全ての夢が同一人物だと最近判明した。


 悲しくもない、つらくもない。

なのに何故、私は朝起きたらいつも、涙を流しているのだろうか。


私は、重い体をベットから起こし、朝食の香りがするリビングに向かった。





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「今日の夢、すんごいイケメンが出てきてさあ。

 まじで最高だった。」


 私の机に椅子を向かわせ、弁当を食べている彩がそう言った。

夢の話題でふと今日の夢を思い出し、私は口を開く。


「夢といえばなんだけど、私最近不思議な夢みるんだよね」


「えー、どんな?」


「毎日同じ人が出てくるんだ。しかもその人、毎回姿がぼやけてて。

 おまけに朝起きたら私絶対泣いてるし。」


 彩の瞳孔が少し開いた気がした。


「でも、なんか懐かしい感じがするんだよね」


 彩が箸を止め、さっきより大きい声で言う。


「…そうなんだ。と、ところでさ、今日提出の数学の宿題終わった?」


「…え?お、終わってるけど…」


「よ、よかったあ。私終わってないから写させて」







 無理矢理、話をそらされた気がした。

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失念と幽霊 雨音 @amane0625

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