『好きな駄菓子の話―私の愛したチョコ●ット―』

小田舵木

『好きな駄菓子の話―私の愛したチョコ●ット―』

 昨日の仕事帰りの事である。

 仕事を終えた私は腹が空いていた、猛烈に。

 家に帰ってしまえば夕食がある。だが、もう我慢できそうにない。

 空きっ腹を抱えて会社を出て。駅まで歩いていく途中にはコンビニがある。

 私はそこで買食いをする事にする。

 さて。何を食べようかと考える。

 パン?おにぎり?ホットスナック?

 …どれもピンとこない、何せ家に帰れば夕食だから。あまりヘヴィなモノは食べたくない。

 私は空きっ腹で良くない頭をフル回転させる。小腹を満たす食べ物…

 そうだ。駄菓子である。

 アレなら値段も安いし、小腹を満たすのに丁度いいサイズ感だ。

 

 駄菓子。

 懐かしい響きである。

 小学生の頃は。お小遣いを握りしめて駄菓子屋に行ったものだ。

 …令和の今でも。個人経営の駄菓子屋はあるのだろうか?

 平成の時代でも存在が危うかった個人経営の駄菓子屋。今はもう駄菓子屋のおばあちゃんは亡くなっているだろうな。

 

 私は駄菓子たちに想いを馳せる。

 まずは何と言っても、●まい棒。コイツはレジェンドクラスの駄菓子だ。

 10円で様々な味が楽しめる喜び。

 私はコーンポタージュ味派であった。アレを粉々にして食べるのがなんとも好きだった。

 

 後、●ブリチュウ。大きな●イチュウみたいなガムキャンディ。

 アレを口に咥えて公園を走り回っていたっけな。

 

 ●ルカワのフーセンガムも外せない。あの20円の箱入りの風船ガム。

 コロコロとした形がなんとも子ども心を刺激する。

 噛んだら吐き捨てるモノだが、私は美味しすぎて飲み込んでいた。後日大便に混じっていたっけ。

 

 私は数々の駄菓子に想いを馳せる。

 そんな事を考えていたら余計に腹が減ってきた。

 この腹の空きにジャストフィットする駄菓子は何か?

 私はそんな事を考えつつ、コンビニへと急ぐ。

 

 色々と案が出て。

 考えが纏まらない内にコンビニに着いてしまう。

 私はとにかくお菓子売り場に直行し。売り場の下の方を眺める。

 そこには駄菓子が所狭しと並んでいたのだが―

 ある駄菓子が目に入って。私に電流が流れた。

 

 ●立製菓のチョコ●ットである。

 細長いパンのような生地にうすーくチョコがかけられているアレである。

 私は思い出す。チョコ●ット程好きな駄菓子はなかったよな、と。

 迷わずに手に取り、レジへ直行。

 支払いを済ませ、駅へと私は歩いて行く。

 

 私は駅に着き、改札を超え、ホームに降り立つ。

 そして適当なトコロで電車を待ちながら、チョコ●ットを食べる。

 

 久しぶりにチョコ●ットを食べる。

 下手しい10年ぶりくらいかも知れない。

 さて。この年月はチョコ●ットを変えてしまったのだろうか?

 

 昨今は。物価高である。

 それは食品業界に多大な影響を与えた。

 今は。どんな商品も『おいしくなってリニューアル』の憂き目にあっている。

 あの『おいしくなってリニューアル』というヤツは。コストカットの為の商品の改変を意味する、私にとって。

 そして。『おいしくなってリニューアル』を経た商品は。必ずと言って良いほど、サイズダウンか味の変更…少し不味くなるを伴う。

 

 さてさてさて。

 私の愛するチョコ●ットは。どんな変化をしている?

 まずは商品のパッケージ…変わってない。あの妙なテイストの野球少年がまだ居る。

 そして開封…サイズは少し小さくなったか?でも。私の手が大きくなっているという可能性も捨てがたい。

 んで?味は?

 私はチョコ●ットを頬張る。

 …うんうん。この味だ。中の生地の味が強くて。後からほのかにコーティングのチョコの味が来る感じ。このバランス感が好きだったのだ。

 

 チョコ●ットは。

 決してリッチなお味ではない。失礼な物言いだが。

 それは私の持論では。チョコ●ットが『準チョコレート菓子』であるのが大きいと思う。

 『準チョコレート』とは。チョコレートよりカカオと乳固形分が少ないチョコの事だ。

 これは駄菓子なんだから仕方ない。コスト的な問題である。

 だが。私は。『準チョコレート』の淡いチョコレート感が好きなのである。

 濃ゆいチョコも当然好きだが。淡いチョコも中々に乙である。

 

 私はあっという間にチョコ●ットを食べ終える。

 そしてもう1本に手をつけ、更にもう1本食べ…

 あっという間に3本食べてしまった。

 いやあ。美味しかった。

 

 しかし。

 チョコ●ット。この10数年良く頑張っているよなあ、と思う。

 駄菓子の中には。生産終了してしまったモノも数多い。

 コストの高騰に着いていけなかったり、生産者が不足して生産できなくなったり。単純に売上が下がって終売したり…

 

 私は●立製菓がある静岡の方向に心の中で敬礼を送る。

 ●立製菓。チョコ●ット以外にも源●パイやかに●んで有名な企業さんである。

 

 願わくば。これからもチョコ●ットには頑張って貰いたい。

 …こんな事を思うなら。もっと普段からチョコ●ットを買わないとな。

 でも。チョコ●ットは。たまーに、無性に食べたくなる味なのだ、私にとって。

 それはチョコ●ットが私の少年時代の思い出とリンクしているからだろう。

 

 

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『好きな駄菓子の話―私の愛したチョコ●ット―』 小田舵木 @odakajiki

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