橋から飛び降りて自殺した男がいた。原因は恋人とのトラブル。
この世のものではないものが視える晴季は、叔父の誠一郎に現場へ連れて行かれる。
橋には、それらしい霊は見えない。だが、何かがおかしい。
なぜ男の亡霊がそこにいないのか。果たして、その死因は本当に自殺なのか。
誠一郎のもとに身を寄せる吉彰は、『船橋』との関連性を指摘する。
文学、伝承、歴史、地形、人間関係、遺書、持ち物、嘘…
さまざまな観点から見つめた時、絡まった真相は少しずつほぐれ、明らかになっていく。
情念が、悲劇を呼ぶ。
形人心鬼。
それは鬼か、人間か。