試論(嘘について)
森下 巻々
嘘の四類型
不図、嘘について考えることがありました。整理がてら、少し書いてみようと思います。
これを考えるために本を机に積むというようなことはしていません。参考文献なしで書きます。
さて、嘘について、四種類の型を思いつきました。『積極的嘘』『消極的嘘』『原因的嘘』『結果的嘘』です。
『積極的嘘』
例えば、箱の中に赤の玉が入っていることを知りながら、箱の中にあるのは黒の玉であると言えば、この型の嘘になると考えます。
『消極的嘘』
例えば、箱の中に赤の玉が入っていることを知っている状態で、箱の中にあるのは黒の玉であろうという前提で会話を続ければ、この型の嘘になると考えます。異なっていることを知っているのに、積極的に訂正しないということです。
『原因的嘘』
例えば、箱の中に最初から赤の玉が入っていたことを知っていながら、知らないふりをして、それを予想して見せれば、この型の嘘になると考えます。
『結果的嘘』
例えば、箱の中にこれから赤の玉を入れて見せますと言って、実際には入れることをしなければ、この型の嘘になると考えます。
積極的嘘
人が「嘘」について話題にするとき、第一に想起されているのが、積極的嘘の型の嘘だと思います。
嘘には後ろめたい気持ちがつきものだとも思いますが、この型の嘘の場合には、それが極端に薄い場合があるのではないでしょうか。「嘘」が「嘘」である間違いなさが一等に強い型であるにもかかわらず、むしろ後ろめたい気持ちの感じられない場合があるのではないでしょうか。自分に「自信」があるのです。
話者が、この嘘は他人のためになるのだと確信をもっている場合や、話者が、嘘をつく以外に選択肢がないではないかと強く思い込んでいる場合です。或いは、ただ単に、大したことではないと思っている場合もあるでしょうか。
消極的嘘
消極的嘘の型の嘘の場合には、自分から積極的に事実とは異なることを話している訳ではないのに、後ろめたい気持ちが結構強い場合があるように思います。これは、自分が「嘘」の出発点であるという意識が積極的嘘の型よりも弱いからではないかと思います。超強い意志があって嘘をついている訳ではない、つまり、覚悟がどこかで無い訳ですね。
原因的嘘
原因的嘘の型というのは、そもそも実際の世界では、あまり出会わないものなのかも知れません。
僕の念頭にあるのは、日本政府の行った「所得倍増計画」です。一説には、そのまま推移すれば経済学的に所得が倍増するのは自然のことと予想できていたらしいですね。それでいて、所得を倍増すると希望を演出して見せた訳です。
政府関係者に後ろめたい気持ちは余りなかったのではと感じます。それは、この「嘘」の例は善行と信じた上の「積極的嘘」でもあっただろうからです。
結果的嘘
結果的嘘の型の嘘は、「嘘」ではないのではないか、という見方もあるかと思います。確かに、努力はしたものの達成できなかったというだけのことという感じ方もあるでしょう。ただ、後ろめたい気持ちというか、後悔の気持ちは結構強いものになってしまうのではないかと思います。それは、人に一度、期待させてしまっているからですね。
後ろめたい気持ちに注目しつつ書いてみましたが、「嘘」というものは難しいものだと思います。
できるなら、嘘をつかずにいられればと思います。「事実」こそが容易に「自信」に繋がり、「後ろめたい気持ち」を抱かずに済むと考えるからです。
試論(嘘について) 森下 巻々 @kankan740
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