28-2 男達のモナコ
〔仏〕「未読スルー……。やっぱり松尾は仕事で忙しいのか」
一向に返事の戻ってこないスマホを見つめながら仏像がぼやいているうちに、『落研ファイブっ』の面々を
〔服〕「俺たちはこれで。
〔仏〕「まあな。お目付け役って所だ」
仏像がちらりと目線を投げた先には、『ピーマン研究会』に交じって立ち話をする仏像の父。隣にれんがいない事に、仏像はほっと胸を撫でおろした。
〔大〕「みんな、気をつけてね。ゴー君は
〔仏〕「はい。うちの父親が何をしでかすか分からないので、監視係です」
〔大〕「ふーん、監視係ねえ」
大和はにやつきながら仏像を見ると、遠ざかるキャンピングカーに手を振った。すると、パーカーの左ポケットに入れたスマホが小刻みに震えた。
待ちに待った松尾からの返信だ。
〔ゴーさん、SNSに気づくのが遅れました。合同練習はどうでしたか〕
〔グダグダ。まともに試合になったのは最初の一ピリオドだけだった。
〔下野君? 下野君が来ていたのですか。どうして〕
〔『かしわ台コケッコー』のメンバーが道に迷って、
〔僕も葉山に行きたかったです。そう言えばシャモさんがHDLの富士川Pと一緒にモナコに来ています。
〔マジでか。シャモいる?〕
〔今は富士川Pと取材中なのでそばにはいません。『みのちゃんねる』でHDLの取材映像を使う代わりに、レポーターをやらされている様子です〕
〔案件どころかただの仕事かよ。あいつ一言だって、モナコに行くって言ってなかったろ〕
〔そうですよね。僕もそれを聞いていれば、藤崎さんとのデートのお膳立てぐらいはできたのに〕
松尾の何の気ない返答に、仏像はぴくりと眉を上げた。
〔藤崎さんって、あのバレエのそば女の事か。仕事でモナコに行くんじゃなかったのか。そば女とそっちで会うのか。日本に戻ってきたらその辺りをみっちり
ただでさえ機嫌の悪い仏像は、松尾と藤崎しほりが同じタイミングでモナコにいる事に、そして松尾がそれを隠していた事に余計にいら立った。
〔刑事ドラマごっこは好きですが犯人役はお断り。それは置いておいて、ディレイ配信がありますので麺棒さんの勇姿をぜひ見てあげてください。『ペン回し モナコワールドカップ』で検索すると配信ページが出てきます。麺棒さんの演技のダイジェスト版だけ見たければHDLの特設ページを。ではでは〕
それきり松尾からの返信は戻ってこなかった。
〔仏〕「そば女の件は松尾の中ではアンタッチャブルなのか。だがどうもあの女、いけ好かねえな」
返事がぴたっと止まったSNSを見ながら仏像がぶつぶつとつぶやいていると、
〔多〕「何を一人で難しい顔をしている」
〔仏〕「別に。そうだ、ペン回しワールドカップのディレイ中継がある。麺棒だけ見たければ、ダイジェスト版がHDLの特設ページで見られるって。それの取材でシャモもモナコに飛んでいるらしい」
〔多〕「松田君がモナコに行くとは聞いていたけれど、
〔仏〕「勝った所で全額嫁に没収されるのがオチだろ。実年齢四十七歳の恐妻家殿」
〔多〕「ローンの繰り上げ返済に充てるのが先だ。それは冗談として、麺棒君の出番は何時ごろだ。みんなで勇姿を見ようじゃないか」
いつもの調子で軽口を叩くと、
※本作はいかなる実在の団体個人とも一切関係の無いフィクションです。
※松尾の刑事ドラマごっこ回→https://kakuyomu.jp/works/16817330659394138107/episodes/16817330659844148808
https://kakuyomu.jp/works/16817330659394138107/episodes/16817330668205680928
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます