掌編小説・『節分』

夢美瑠瑠




 節分は「追儺」ともいう。ついな、と読み、調べると由来は大晦日の日に豆をまいたりして鬼=儺を追い払った、その古い儀式が変形したものらしいです。今の立春が旧暦ではお正月になるので、節分におこなわれるそうです。


 24節季、は季節の区切りを、節目節目を二字熟語で表したものです。順番に、


 

〈春〉

1. 立春(りっしゅん) 2月4日〜18日ごろ

2. 雨水(うすい) 2月19日〜3月4日ごろ

3. 啓蟄(けいちつ) 3月5日〜19日ごろ

4. 春分(しゅんぶん) 3月20日〜4月3日ごろ

5. 清明(せいめい) 4月4日〜18日ごろ

6. 穀雨(こくう) 4月19日〜5月4日ごろ


〈夏〉

7. 立夏(りっか) 5月5日〜19日ごろ

8. 小満(しょうまん) 5月20日〜6月4日ごろ

9. 芒種(ぼうしゅ) 6月5日〜20日ごろ

10. 夏至(げし) 6月21日〜7月6日ごろ

11. 小暑(しょうしょ) 7月7日〜22日ごろ

12. 大暑(たいしょ) 7月23日〜8月7日ごろ


〈秋〉

13. 立秋(りっしゅう) 8月8日〜22日ごろ

14. 処暑(しょしょ) 8月23日〜9月7日ごろ

15. 白露(はくろ) 9月8日〜22日ごろ

16. 秋分(しゅうぶん) 9月23日〜10月7日ごろ

17. 寒露(かんろ) 10月8日〜23日ごろ

18. 霜降(そうこう) 10月24日〜11月7日ごろ


〈冬〉

19. 立冬(りっとう) 11月8日〜21日ごろ

20. 小雪(しょうせつ) 11月22日〜12月6日ごろ

21. 大雪(たいせつ) 12月7日〜21日ごろ

22. 冬至(とうじ) 12月22日〜1月5日ごろ

23. 小寒(しょうかん) 1月6日〜19日ごろ

24. 大寒(だいかん) 1月20日〜2月3日ごろ


…だから、昔は今日が季節の区切りで、新たな一年の始まり。それで「節分」なわけですね。「接吻」とは無関係ですw


 この24節季は、誰が考えたのか、非常に季節感に富んでいて綺麗な言葉だなあ、と感心する感じになります。

 昔の人の生活は自然とともにあったのだなあ、と、そういうこともしのばれる言葉が並んでいる。


 俳句とかに通じる感覚と思う。言葉の美しさや自然の美しさ、そういうことは時代を超えて守っていくべき伝統であり文化の嚆矢と思う。和歌や短歌、俳諧とかには全く不案内で生半可ですが、いろんな文人とか偉人の「辞世」は知っています。

 例えば三島由紀夫は「散るを厭う人にも世にも先駆けて散るが花よと吹く小夜嵐」というのが切腹前に詠んだ歌で、これは「葉隠」の武士道の精神、「武士道とは死ぬことと見つけたり」というのに通じている気がする。


 平重盛?の、「久方の光のどけき春の日にしづ心なく花の散るらむ」も、「葉隠」の精神の現れの代表例、とか仄聞したことがあります。辞世ではなかったかな?


 今頃の季節を詠んだ和歌だと、志貴皇子の「岩走る垂水の上の早蕨の萌えいずる春になりにけるかも」を思い出します。万葉集中でも屈指の名歌(斎藤茂吉)らしい。

 似た感じの歌で、「瀬を速み岩にせかるる滝川の割れても末に逢わんとぞ思う」というのもなんとなく口ずさんだりします。選者の太安万侶が作者やったかな?


 西行法師は、辞世ではないが「願わくば花の元にて春死なむそのきさらぎの望月のころ」という歌を詠んでいて、で、本当にその通りに亡くなったというので人々っが感心したと、これも伝説の?事実らしい。

 西行だと、例の「いろはにほへと…」という50音を歌にした、その人だという、これも真偽は定かではないが言い伝えがあるらしいです。

 知らない人のために念のために書いておくと、「色は匂えど散りぬるを 我が世なんぞ常ならむ 有為の奥山けふ越えて 浅きゆめみしえいもせで」という、「いろは歌」のことで、これはひらがな47音を綴り替えてひとつの歌にしているわけです。

 これは仏教の仏典・「涅槃経」の「諸行無常 是生滅法 生滅滅巳 寂滅為楽」という部分の和訳だといわれているそうです。


 書いてしまってから間違いに気づいたが、これは西行ではなく「空海」の作だという俗説、だそうで、否定的な意見が多いそうです。で、上の方に書いた歌の作者も太安万侶ではなく藤原俊成だそうです。


 「弘法も筆の誤り」?www

  




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