ハッピーホリデイ
ハッピーホリデイ。
クリスマスだ。帰りの駅を出たら駅前のファミマに特設売り場ができててトナカイの格好の店員がチキン売ってた。通りに出たらサンタの服着たピザハットのバイクが通っていった。先日は庭の松の木にイルミネーションしてる民家があった。松の木も「俺でいいの?!」ってなっただろうな。
二千年と少し前に砂漠の民から生まれた宗教指導者の生誕祭は極東の稲作民族の一般人が鶏肉とケーキを食べる日になった。
世界的アーティストの代表曲がアレンジされまくった曲調で場末の遊園地の有線放送で流れるみたいな、クラシック曲がしょうもない替え歌でお茶の間のテレビコマーシャルで使われてるみたいな、パンクバンドのバンドTをおかんが部屋着にしてるみたいな趣きがある。
キリスト教じゃねえし、みたいなひねくれもわかるんだけど、しんみりしがちなこの時期に浮かれたお祭り気分を感じさせてくれるのは普通に最高じゃないですか。
みんなそもそもお祭りが好きなのだ。必要なのは意味ではなく口実。
トナカイの格好の店員もビザハットの配達員も、大変だろうけどクリスマスだしいっかみたいな気分で楽しんで着ててほしい。今日くらいは変な客にも出会わず浮かれた格好に似合った気分で過ごしてほしい。だってクリスマスだし。
お祭りは世界がちょっと良くなってほしいと願う口実でもある。
ハッピーホリデイ。
特定の宗教的な意味がないからメリークリスマスよりもこっちを使おう派もいると聞いた。わかりやすいからいいと思う。ハッピーなホリデイはなんぼあってもいいですからね。メリーがなんだか知らないし。
前から思ってたんだけど、西暦はキリストの満年齢のことなんだろうか、数え年なんだろうか。
日付自体は正確なキリストの誕生日ではなく、あくまでキリスト降誕を祝う日として制定されたんだとか。一月とか三月とか十一月とか候補日は他にいくつもあったらしい。クリスマスが十二月二十五日ではなかった世界線、全然想像がつかないので誰か想像して書いてくれないかな。
クリスマスくらい馴染みすぎている単語で改めてウィキペディア読むのとってもおもしろい。
ハッピーホリデイ。
少しずつ高まっていったクリスマス気分が二十五日にぱんとはじけ、その勢いのまま力づくで納めるような年末、明けてみればあっけない年越し、だんだんと思い出す日常。クリスマスから年末にかけてせわしなく駆け巡る非日常の空気が大好きだ。
年の瀬とか暮れとか、しんみりと終わりの気分ばかりになるところをパーッと楽しく締めてくれる。
日々の試み 芳岡 海 @miyamakanan
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