第7話 仲間
「せい!」
剣を使い相手をなぎ倒し、ゴブリンの群れに叩き込む。
「今!」
「【フレイムストライク】!」
ユーリが炎の塊を集団に叩き込む。
「おおー見事見事。」
今日はこのくらいにして引き上げよう。今日明日の飯代にはなるはずだ。
そうして撤収準備中に悲鳴が聞こえた。
「キャー!!」
少し離れたところに女の子がいた。そこにはオークが一体。そして逃げていく3人の男女・・・あーあ嫌なもん見ちゃった。
「ユーリ、でかめの魔法用意。」
「えっ?えぇ・・・」
絞りを小さくして射程距離を延ばす。自分の魔力を込めて撃つ用意をする。
発射する。少し照準がズレたがヒットする。ターゲットが女の子から俺に移る。
「ブモォォォォォォォォ!!!!」
突っ込んでくる。この距離で直線的に突っ込んでくるが大丈夫。
「ユーリ!」
「わかってるわよ!!【フレイムノヴァ】!」
大きい炎がオークを包んでいく。
ちょっといい匂い・・・
「あ、ありがとうござ・・・いあ・・・」
まだ怖いのか震えている。
「立てる?」
「は、はい・・・」
立とうとするも膝が笑っておりフラフラしている。
「おっと・・・」
肩をつかんで支える。
あ、気絶してる。
いわゆるファイヤーマンズキャリーの姿勢で運ぶ。
「あの子だいじょう・・・って何してんの!?」
「俺も疲れてんのよ、だから楽に運べる運び方をね。」
女の子をユーリに渡して倒したオークを運ぶ。
ギルドに到着しオークとゴブリンの耳を渡して討伐証明とする。
あ、女の子目が覚めた。
「私はセシリアです・・・」
白い服に身を包んだ少女は僧侶だというつまりヒーラーってことだ。
「よし!俺のパーティに入ってくれ。」
「えっ?」
「ちょうどヒーラーが欲しかったんだ。君さえよければ是非。」
「はい!お願いします!」
よし、これで順調にメンバーが集まってる。
とそこに馬鹿みたいに騒ぐ声が聞こえた。
「あいつらだ!!俺たちの獲物を横取りしたんだ!!」
さっきこの子を押しのけて逃げてった三人だ。
「お前が邪魔をしたから俺たちは失敗したんだ!!報酬をよこせ!!」
「・・・」
なんて声を掛けたらいいのやら・・・
「お前たちのせいで仲間が一人逃げ遅れたんだ・・・仇取ってやる!!」
徹底的に被害者になって他の奴に誤認させる気だな。
「誰が死んだの?」
「最近加入したばかりの僧侶だ!!まだ若いのに・・・」
わざとらしく目頭を押さえる。
「あの~私生きてますけど・・・」
「えっ!」
周りのやじ馬がざわざわしだす。
「お前が炎魔法で邪魔したんだ!!そいつは俺達のモンだ!早く返せ!!」
と俺に指さして叫ぶ。ああ、俺の魔法と勘違いしてるのか。
「観念しろ!!この下種野郎!!」
そう言いながら剣を抜く。
臨戦態勢に入ろうとしていると受付嬢が割って入る。
「互いの言い分を聞くので収めてください。」
「俺たちはさっき言った通り、こいつらが邪魔をしたせいで任務失敗した。横取りされたからその分を払え。逃げ遅れた僧侶に気づいた時には遅くて泣く泣く逃げたんです!そして洗脳されたんでしょう・・・俺たちの仲間の僧侶を返せ。」
なるほどね、俺たちが倒して金をもらったばかりかヒーラーまで取られたのが気に食わないと。
「さあ貴方の言い分は?」
「ただオークがいたところに魔法ぶち込んだだけですよ。ただ悲鳴が聞こえたのでね。」
喉渇いたから受付嬢に許可をもらい飲み物を用意してもらう。相手にも一応渡す。何の躊躇もなく一気にあおった。
「俺たちが戦っていたのに連携が崩れたんだ。俺たちは見たぞ!!」
そりゃおめぇらの主張なら自分に有利なように伝えるさ。
まあ俺は見た目からしてここの人間とは全然違うからその分の偏見もあるだろう。周りも地元の人間であるコイツに同調気味だ。
「俺だって見たぞ。この子を蹴り飛ばしておとりにして逃げたことを。」
嘘つけなどとヤジが飛ぶ。
「確かに蹴られたにしては服がきれいですね・・・」
受付嬢は俺に疑念の眼を向ける。疑われてるな。
「そうだよ、俺たちは蹴ってねぇ!!」
調子に乗り始めた。べらべらと元気に話す。
「ぐっ・・・」
悔しいって顔を前面に押し出す。
「押したんだよ!!そうしたらあとは残らねぇからな!!」
「あーあ言っちゃった。」
「あっ・・・」
さっき用意したのは強めだが甘い酒。あんなのをジョッキ一杯グイっといったらそりゃ思考能力が削がれるわな。
「そう、今自白した通りこいつらは新人のこの子を押して囮にして逃げたんだ。」
「ち、ちがっ・・・この子が自分から囮をしがんしt「さっきの逃げ遅れたっていう証言と矛盾しているんだよ!!この大嘘つき!!」あっ・・・」
「止めにこの子の服に残っているこの手の痕、お前は気付いてないみたいだが長いこと剣を握って汚れていたんだよ。」
そういって背中の手形を見せる
一気に流れをこっちに手繰り寄せる。もう一押しだ。
「ふふふ・・・てめぇこそ大嘘つきじゃねぇか!!!俺が押したのは肩だ!!・・・あっ!!!」
「あーらら・・・てことで、ほい!!!」
肩にかけていた隠ぺい魔法を解除する。
「この手の大きさ、痕どう考えてもお前のものだ!!」
周りがザワザワしだした。さすがにここまで証拠を突きつけたら地元の人間でも庇いきれないだろう。
「はじめからだま好きだったんだな!?なんで態々隠蔽魔法かけていたんだ!!」
こいつもなんか必死だな・・・やったこと最初に認めとけば罰金程度になったろうに・・・
「なんでってお前・・・こんな白い服に汚れついてたら気になるだろ。」
ただただ俺が変に神経質ってだけだ。まあこんなことになったから変な神経質さにも少し感謝かな。
集団転移に巻き込まれたが、「お前は無能」と追い出されたので最強を目指します! 高峰悠華 @Haruka_
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