第5話 最終話 ミオ全面対決

「出来ちゃったみたい」

「何が?」

「やーね、こういうとき出来たって言えば」

「まじ?」


 僕、父親になるの?


「ヨッシーは気にしないで」

「気にするなって言っても、僕、父親になるんでしょ。来年、教師になったら給料どれくらいもらえるのかな? スイミングのバイトはもう出来ないし」

「スイミング、やめちゃうの? 泳ぐの好きなんでしょ?」

「そんなこと言ってられないよ」

「だから、一応報告はしたけど、ヨッシーは気にしないで」


 はあっ?


「それどういうこと? 僕が子どもっぽくて頼りないから」

「そういうことじゃなくて、ヨッシーにはこれから先、素敵な出会いが待っているから」

「まさか、生まないってわけじゃないよね」

「だから、気にしないで。だいいちお母さんに何て言うの。良雄は年上の子持ち女に引っかかってって言われるよ」

「母さんは僕が説得するよ。そうだ今度家に来る? ユウも連れてさ」




 ミオはまたかという顔をして呆れていた。


「ぼくのおばあちゃん?」

「そうだよ。祐樹のおばあちゃんだよ」


 保育園の友だちから聞いて知っているおばあちゃん。憧れにも似た祐樹の気持ちは期待でいっぱいに膨れ上がった。

 もともと子ども好きなミオは膝の上に乘って来た祐樹を無下にすることも出来ずにいた。


「母さん、今夜は鍋にしよう。材料は買って来たから祐奈さんと作るよ。母さんは祐樹とテレビでも見てて」

「あら、良雄が作るの?」


 ミオの前で、手際よく鍋の支度をする良雄に目を見張った。


 ハハハッ


「今ルナちゃんって言ったでしょ」

「言わないよ。聞き間違えたんじゃないの」

「言った。ルナちゃんって言ったもの。ルナにはちゃんだけどユナにはさんだもの」

「あちゃー、ごまかせると思ったんだけどな。これからユナちゃんって呼ぶよ」


 あのねえ


「気持ち悪いし、そう呼ぶの10年早い」

「それじゃあ、いつまでたっても追いつけない」

「追いかけて来なさいよ」


 ミオは二人の会話を懐かしく聞いていた。

 誰にも話してないけど、亡くなった主人とは5歳年が離れていて私の方が年上だった。


「おばあちゃん、ご本読んで」

「はい、はい、ジャックと豆の木ね」


 ミオは感じていた。

 この居心地の良さは何だろう?

 祐奈からはミオと同じ匂いがした。

 そして、祐奈の香りに包まれて生きていくのも悪くはないかと。




     【了】




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🏠ティースプーン2杯分の恋がしたいヨッシー(🏠あの不動産屋は何処に消えた!番外編) オカン🐷 @magarikado

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