第8話 『一人称』と『三人称』

 今年も半分が経過し七月となりました。皆さんいかがお過ごしでしょうか。僕は元気です。


 最近、一人称を私から僕に変えてみたりなどしています。というわけで、今回は一人称と三人称について語ってみましょうか。


 二人称というものもありますが、これについて僕はまだ詳しくないので、今回は語りません。


 そして何度も話していますが、僕はプロの作家ではなく、ただのワナビーですので、そのことをふまえてお聞きください。


 さて、まずは一人称と三人称の違いについて話してみようと思います。これは、なんといいますか、カメラの視点をイメージすると良いのではないかと思います。


 この辺の説明が僕には難しいのですが、一人称の場合は主人公のそばにカメラが固定されているのに対して、三人称はカメラが自由に動かせるという風にイメージすると分かりやすいと思います。


 一人称というものは主人公のそば、というよりは主人公の視点から見えるものしか書くことができません。


 当たり前のことをいうようではありますが一人称では主人公から見えていないはずの情報を見せては行けません。


 例えば、冷蔵庫の中にプリンがあったとして、主人公がそのことを知らず、また主人公がプリンの存在に気づけないのであれば、プリンについて描写できないのが一人称なのです。


 逆に三人称は冷蔵庫の中にあるプリンの存在を描写できます。主人公がまだ気づかないプリンについていくらでも描写して良いのです。


 ここまで語ると一人称より三人称の方が自由度が高いことが分かるでしょうか。正直に思っているところを言いますと、一人称より三人称の方が扱いは簡単、というか易しい認証ではないかと思います。


 そういう理由があって僕個人としては、これから小説を書く方には三人称で小説を書いてみることをおすすめします。もちろん、個人の合う合わないはありますから、三人称で書いてみて合わなかった場合は、次から別の人称で書いてみるのが良いと思います。


 今度は個人的に思う三人称のコツなど語ってみようかと思います。まあ、最近の僕は一人称の小説しか書いていないのですが。


 では、三人称のコツですが、基本的にカメラを主人公の背後に設置すると良いでしょう。とくに登場人物の心情については主人公のみに焦点を絞るくらいの気持ちで良いです。


 僕が今、変なことを言ったように思われるかもしれません。今話した書き方だと、一人称とまるで変わらないのではないかと。そう思われるかもしれませんが、聞いてください。


 先程僕はプリンの例えを出しました。これはつまり主人公の知らない情報を書けるということになります。そう、何度も言うようですが一人称は主人公の知っていることしか書けないんです。


 ですから、主人公から見えていても用途や来歴の不明なものについての補足や説明ができ、また主人公のそばにあって、気づかれていないものについての描写も可能です。


 そんな風に便利そうに語っている三人称ですが、守らなければならない制約もあります。それは三人称の地の文は嘘をついてはいけないということです。作中の登場人物が嘘をつく分には構いませんが、三人称の地の文は絶対に嘘をついてはいけないのです。


 そして、地の文で嘘をついても良い人称も存在します。それが一人称です。一人称の地の分というのは、神の視点ではなく、語り手の個人的な思考であり視点ですから、嘘や勘違いがあっても許されます。


 思うに一人称とは、読者に嘘をつくという一点でのみ優れた人称と言えるでしょう。


 一人称の方が読者に感情輸入させやすいという意見を聞くことがありますが、これについて僕は懐疑的です。


 先ほど僕は三人称のコツを話したときにカメラを主人公のそばにおくべきと言いました。そうすることによって一人称より自由度の高い文章を書きつつ、ほぼ一人称と変わらない印象の文章を作ることが可能です。


 と、ここまで偉そうに語ってきましたが僕は何の結果も出してはいないワナビー。ここまで話している内容が絶対的に正しいのだとは思わないことです。


 たまに考えることがあるのですが、多くの読者は一人称と三人称との間にある微妙な違いから、一人称の方が感情輸入しやすいと思うのかもしれない。だから一人称の方が感情輸入しやすいという論が出てくるのかもしれない。そうであるなら一人称の方が書くべきなのかもしれない。


 そう、考えるときがあるという話です。僕にはまだ、はっきりとした答えは出せません。


 まあ、なんといいますか。


 一人称でも、三人称でも、作者が書きやすいと感じる書き方を選ぶのが一番です。あるいは、その作品にふさわしいと感じる書き方を選ぶべきでしょう。


 文章というものは繊細で、ちょっとした書き方の違いで全く印象の変わるものになってきます。


 そう思うと、文章というものは、まるで生き物のようですね。


 今回はこんなところにしておきます。また、何か書きたいことがあった時は、この創作論を更新しようと思います。

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あげあげぱんの創作論 あげあげぱん @ageage2023

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