第10話 あとがきと義母の近況

 俳句というものは、読む人によって解釈や捉え方が違ってくることも魅力の一つである。詠んだ人間の意図したことを明かしてしまうことは、こうした俳句の可能性を制限することになりかねない。そうした弊害をわかった上で、義母が一句一句にこめた思いやその当時の背景を記したのは、義母が語る言葉を聞きながら、彼女が伴侶を失った後に踏み出した新たな人生の中で感じた喜びや悲しみを追体験しているような感覚を味わうことができたからである。こうした奇跡が起こったのは、彼女が紡いだ俳句があったからであり、その力の大きさを伝えたいと思ったのである。


 あの日義母が倒れなければ、こうした経験はできなかったであろうと思うと、不思議な気持ちになる。自身の俳句に纏わる様々なことを書き記すことを快く承諾してくれた義母に敬意と感謝を示したい。

 なお、このエッセイをカクヨムに投稿した2024年1月現在、義母は90歳になり、益々元気にニューヨークの一人暮らしを満喫し、俳句の実力をめきめき向上させ、スーパー高齢者の仲間入りをしている。


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88歳新米ニューヨーカー女子の日々と俳句 青山涼子 @ropiyama

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