第9話「五勺酒 頬ほんのりと 花の宴」
五勺酒 頬ほんのりと 花の宴 (小松栄子・2021年4月)
新年早々から高齢者のコロナワクチン接種が始まったが、予約サイトはパンク続きで、義母も予約を取れない状態が続いていた。二月に入ったある朝、ワクチン接種を来週早々にできることになった、と義母から電話があった。寝耳に水であった。彼女に便宜を図ってくれたのは、以前から親しくしていた件のイケメン薬剤師だった。薬局でのワクチン接種が解禁されるや、真っ先に義母の予約を取ってくれたのだ。その上、私達夫婦の予約の心配までしてくれていると聞いて、一度でも彼を義母の財産狙いのドンファンではないかと警戒したことを恥じた。
四月に入り桜が開花した頃、日系人会でもシニア会員向けの対面イベントを少人数で解禁した。母はお酒を口にしないが、ちょっとずつ慎重に友人達と再会を果たした喜びを、ほんの少しのお酒で酔いを楽しむ様子に重ねたように読める一句である。
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