エピローグ

「よしこちゃん、聞いて聞いて! 病院で目が覚めたらね、目の前に勝也君がいたの!」

「もう200回は聞いたよ」

「私のこと、憶えててくれて、彼から話しかけてくれたの!」

「はいはい」


 友里香ちゃんは、勝也君の見立て通り一日で退院した。

 学会が延期になった勝也君とも、少しの間話すことができたらしい。


「勝也君、私のことすごくよく知ってたなぁ。中高のこととか、大学のこととか」

「そうだね」

「なんだか態度もすごく丁寧だったし、ちょっと怖がってる気もしたけど」

「どうだろうね」

「もしかして私のこと好きなのかな!? どうしよう! 婚約破棄する?」

「やめたれ」


 退院後、終始この感じである。


 偶然にも病院で再会できたとはいえ、彼女の人生が変わったわけじゃない。

 来月には職場の先輩との結婚式が催される予定だ。


 ただ私達は、運命とやらに一矢報いることはできたと思う。


「カッコよかったなぁ。勝也君。また会えるかなぁ」


 時は流れ、人生も大きく変わった。

 彼女にとっての勝也君の存在も、当時と意味合いが変わっているはずだ。


 けれど、今の彼女のまなざしは「好きな人ができた」と教えてくれたあの日から少しも変わってない。


 そのことが、私はたまらなく嬉しかった。


「病院で目が覚めたら好きな人が目の前にいて、私を治してくれるなんてさ」


「運命だよね!? よしこちゃん!」


 そういうことにしておこう。

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運命だよね!? よしこちゃん! 1103教室最後尾左端 @indo-1103

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