第6話 誘拐

 一方、闇バイトの幹部は、誰が自分達をはめて警察に情報を提供したのかということを調べていて、それは、光莉と仲の良かった私が行ったんだろうと突き止めた。そして、私の子供を誘拐して、5,000万円を支払えと脅迫してきたの。


 光莉が与えてくれた子供を失うわけにはいかない。でも、5,000万円の大金なんて持ってるわけもない。そこで、悟と相談することにした。


 悟は、長い間、悩んだ後、今回、仮に、5,000万円を渡せたとしても、かなり恨まれているから、今後も、子供は狙われるし、殺されるかもしれないとして、警察に伝え、頼るしかないと言い始めた。


 本当に大丈夫かしらと不安だったんだけど、私も、それ以上の案がなくて、警察を頼ることにした。


 そして、しばらくすると、数名の警察官が私の家にきて、犯人からの連絡があった時の対応のために待機することになった。


 それから、3時間ぐらいした時かしら、玄関のベルが鳴り、箱が送られてきた。中を見たときに、私の体は凍りついた。それは、ビニール袋に入れられた娘の生首だったから。そして、警察に通報したんだな、これは、その報復だとメッセージがついていた。


 私は、その後の記憶はないけど、気づいたら、病院のベットにいたの。そして、さっきの箱は夢じゃないかって、心配そうに見ている悟に確認すると、現実だと静かに答えが返ってきた。


 どうして警察なんかに言ったのよと悟を叩きながら、大声で叫んだけど、私も同意したんだから罪は同じ。どうして、こうなっちゃったんだんだろう。


 悟に聞いたけど、警察は、まだ重大犯罪として捜査を続けているんだけど、メッセージに指紋はなく、スマホの音声もボイスチェインジャーで声が変えられていて、それ以上の手がかりがなく、捜査は難航しているらしい。


 せっかく、光莉が私たちを結びつけてくれて、光莉の血縁がある娘ができたのに、あんな姿になってしまうなんて。私が悪いの。


 それから、何も手につかなくなった。時々、警察が訪問してくるけど、捜査はあれから、全く進展していないという。


 泣きじゃくりながら、どうして、どうしてと悟を責める日々が続いた。悟のせいじゃないってわかっているのに。でも、そうするしかできなかった。


 私のせいで、娘はこの世を去った。私のせい。悟は家に帰ってきた時に、電気もつけず、椅子に座って下を向いている私を見て、このままじゃダメだと思ったんだって。


 それから、外に連れ出したり、自動車で私を乗せて海岸を走ったりと、いろいろしてくれたけど、私には、何も見えなかった。


 もう、何もやる気もおきず、髪の毛も肌も荒れたままになった。そして、何も食べる気力も無くなった。そして、何も話すこともなくなり、自分で立ち上がることもできなくなった。そして、目も動かなくなった日、微かに口元が動いた。


 わ・た・し・・が・・わ・・・る・・・い・・・・の・・・・・

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犯罪カウンセラー 一宮 沙耶 @saya_love

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