最終話 幸せの旅へと
公園を後にした僕らはその足でマロンの家へと向かう。
気恥ずかしく照れてしまうような現状に今にも叫びたかった。
叫ぶことで緊張やその他の邪念を振り払えるのではないだろうか。
そんな事を思考して脳内を疲れさせていた。
そうすることにより余計な思考を取り払える気がしていたのだ。
しかしながらマロンの住むマンションは思いの外すぐ側で僕らは揃って家の中へと足を踏み入れるのであった。
「何か飲みますか?来客用に紅茶ぐらいならあるんですけど…」
「じゃあ…それで」
「はい。砂糖とミルクも持っていきますね」
「ありがとう」
少しだけ気まずそうにぎこちない返事をするとリビングのソファに腰掛けた。
マロンはキッチンでお湯を沸かしており紅茶の支度をしている。
「何か観ていてもいいですよ。好きに操作してください」
マロンはリモコンを指差すと薄く微笑む。
それに了承するように僕はリモコンに手を伸ばすとザッピングするようにチャンネルを移動させていく。
数十分が経過した所でマロンが紅茶とお茶菓子を持ってリビングにやってくる。
「どうぞ」
「ありがとう」
感謝を口にして紅茶に砂糖とミルクを入れるとよく混ぜて口に運んだ。
落ち着く香りと砂糖とミルクの甘味で心地のいい気分になっていた。
マロンは隣に腰掛けると同じ様にティーカップを口に運ぶ。
「ふぅ〜。今日はトレーニングで疲れましたね」
世間話をするようにマロンが口を開くので僕も追随するように同意の言葉を口にする。
「本当にね。本格的なトレーニングだから疲労感が凄いよ」
「ちょっと横になりたいですね…」
これはまさか誘われているのか!?
童貞の僕はそんな思考に陥ってしまう。
けれどこれはただの世間話だろうと頭を振るとテレビのモニターを眺めていた。
「少し横になりませんか?」
遂にはマロンから積極的に僕を誘うような言葉を口にしてくるので少しだけ表情が引きつってしまう。
「それって…」
「はい♡好きに捉えてください…っ♡」
その言葉で僕は完全に同意だと感じてしまう。
僕らは惹かれ合うようにして手を取り合うとその足でベッドのあるマロンの自室へと急いだ。
そこから何が行われたかは想像におまかせするとして…。
この日から僕とマロンは正式に付き合うこととなる。
平日は学校や放課後を一緒に過ごし、休日はジムからのマロンの家がデートの定番になっていた。
僕を振った相手であるミカは以前では想像できないほど僕に執着していたが僕らはそれを気にせずに受け止めていた。
マロンは自分を選んでくれた僕を信じているようだったし、僕はマロン以外の人を考えられなかった。
そんな僕とマロンは高校を卒業して大学生になった今でも付き合っている。
きっとこれからもずっと一緒なのだろうと願って。
ネットで僕を励ましてくれた友人が偶然転校生としてやってきて僕らは恋人となる。
こんな運命の出会いに感謝しながら。
明日も僕らは幸せの旅へと出るのであった。
学校一の美人にこっ酷く振られた僕は不登校になった。だがしかし…引きこもった先で出会ったネットの友人のお陰で僕は再起する。そして…そこから始まる僕のモテライフ ALC @AliceCarp
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