第39話 よぎる不安
私はあの後、自分の部屋に戻り荷物をすべてリビングに持ってきた。
今日という日に限って荷物が多い。教科書や裁縫セットなど…持っていかないと行けないものが多いのに、課題に必要な物を持って帰らないと行けなかったからだ。
課題に必要なものは、大抵の場合教科書やらを持って帰る必要がある。
そのため荷物がかさばる。荷物は増えるのに、勉強のやる気が出なければそもそもやれずに終わってしまう。
「はぁ…ちょっと失敗したなぁ…早くいかないとなのに…」
わざわざ早く行く必要はない。でも行かなければいけない理由が私にはあるのだ。
私は玄関に向かい、荷物を持って靴を履いた。
「お姉ちゃんもう行くの?」
「うん。行ってくるね。」
「行ってらっしゃい‼またあの人連れてきてもいいからね‼ていうか連れてきてよ‼」
「わかったわかったから。そんなに興奮しないで?」
妹のことを宥めてから私は家を出た。学校までの間、私はスマホを眺めながら歩き出した。
もちろん車には注意している。
「どうやって話を切り出そうかしら…私から彼に話しかけるとして、彼がそもそも私の話を聞いてくれるのか…」
おそらく教室で私が彼に話しかけたら、周りの目を気にして無難な反応をするだろう。そして私に付き合ってくれるかもしれない。
内心面倒くさいなぁ…とか思ってるのかもしれないけど、そういうふうにすれば彼が私と話をしないという線はなくなるはずだ。
それにそもそも私達は付き合ってるんだし…私から『話がある』的な物を切り出したら彼はちゃんと来てくれるはずだ。
なんでさっき変な考えが頭の中をよぎったんだろう…まるでバレてるのが前提みたいな…いやそんなことはないはずだ。
だって私が罰ゲームで付き合っていることを知ったら間違いなく、呼び出して話をするだろう。
それをしないということは…バレていないという事だ。
「バレてるわけないもんね…だって私からその話について切り出したこともないし、彼から切り出されたこともない。いずれバレるとしても今はこのままでいたほうが良いんじゃないかな…」
私はひたすら考えた。学校について教室に向かっている間もブツブツと独り言をつぶやいていた。
もちろん人が来たときには心の中だけで行ったけど…やっぱり【隠し通すことなんて出来るわけもない】と、私は覚悟を決めた。
いずれバレるのなら…いっそ自分から打ち明けて話をするべきだ。
そう私は考えて、彼が来るのを待つことにした。
いつもよりも数十分早いせいで、今日は教室に人がいない。
正確には荷物は置かれているものの、人は来ていないという状況だ。
部活で早く来ている人もいるんだろうなぁ…と思いながら、私はロッカーの整理や午前中に必要な教科書やノートを準備して時間を潰していた。
「あれ?藤沢さん?今日は早いね。おはよう。」
「おはよう。花咲さんこそ今日は早いね。いつもは結構ギリギリで来てたイメージがあるんだけど…」
彼女はこのクラスの学級委員だ。少しポンコツっぽさがあるが、そこが彼女の魅力なのかもしれない。
彼女は私に挨拶をした後、すぐに教室に荷物だけを置いて外に行ってしまった。
どうして教室の外に行っているのかは分からない。でも、彼女にだってやらなければいけないことはあるのだろう。
勉強や部活がそうだ。この学校は朝から自習室が空いているという性質上、勉強をしている学生も多い。部活に参加している人だって多いため、朝から部活の人も多い。
「もう授業が始まる20分前なんだけどなぁ…いつもなら結構人が集まり始める頃なんだけど…電車の遅延とかがあったのかな?」
気になって調べてみたけど、そういった情報が出てくることはなかった。
私はとても気になったが、気にしていたら負けだと考えることにした。
そうして授業が始まる10分前になった頃…一気に人がやってきた。
今日はなんでみんな遅かったんだろう…それは分からなかったものの、最終的に集まったから良いや。
私は彼の姿を探した。どうやら彼は勉強をしているようで、シャーペンとボールペンを交互に使ってノートに書いていた。
流石に今話しかけるのはあまり良くないかな…と考えて、私は今話をするのではなく昼休み前に話をすればいいと思った。
話をすることができれば…良いかな。
でもやっぱり不安だ…もし彼が私と話をしたくないと考えていたら、どうなってしまうんだろう?
嘘告された俺は、彼女を惚れさせて振ることにした!? 聖羅 @kce65895
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