第128話 ウルトラハッピーエンドの舞台裏
「あのままだと兄貴が泣きっぱなしだからこのまま2人の子供になってよ」
「あ、安直すぎないか!?」
「えー、良いじゃん。安直の何が悪いんだよ?」
「貴様は……正真正銘のジンの弟だな……」
「褒めてくれているの?わー、ありがとー!」
「肝心な所で知力が1に下がる」
………………。
それは異世界の物語で、現実味が無くて、フワフワとしたおとぎ話のようで――でも彼らはその世界の中で今日も、今も確かに生きているのだ。
彼らが必死に生きて、いつか人生を終える時に、後悔と哀しみと憎悪だけでそれまでを振り返らないように。
残された者の未来を絶望して悲観しながら死なないために。
ほんの少しで良い、生きてきた事に満足して納得して死ねるように。
1巡目の世界における最大の悪役でありながら、2巡目の世界の破滅を回避すべく懸命に足掻いた男がいた事。
かつての世界の最大の悪役の悲劇から始まった大勢の人間の破滅の運命を救った事。
同時にキッチリと親父やかーちゃんを殺したヤツにケジメを付けてくれた事。
その結果、2巡目の世界をこっそりと救った事。
……みんないつしか何もかもを忘れていくし、何もかも変わっていく。
それで良いと思う。
忘れない、変わらないって何も良い事だけじゃ無いからさ。
でも、俺だけは忘れないよ。
大好きな、自慢の兄貴がいたって事。
ずっと覚えているから。
――ULTRAHAPPYEND――
【完結】転生したら登場人物全員がバッドエンドを迎える鬱小説の悪役だった件 2626 @evi2016
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