にあ、びくとりー
「まだやろうってんですか?ええ?
「おちつきなよぉ……君とは殴りあっても勝てないからさ……話し合おう……ね?」
「うるせえええええええええええ!!!!このロリコンが!!!!なーにが君が欲しいですかアホンダラ!くたばれ!!今ここでケジメをつけろ!!!!」
あのあと、俺のロケットパンチ?はこいつの顔面にクリーンヒットし、KOした。そう、術者が弱いタイプのポ○モントレーナーだったわけだ。前世では式神使いは本体が貧弱というセオリーを逆手に取ってボコボコのボコにするアニメなんてごまんとあったからな。リアルに戦いの世界で生きてる以上、そういうタイプであることもワンチャンあり得るかと思ったけど全然そんなこともなかったみたいで安心。
「……さて、処遇どうしようかな」
まず考えるべきはこいつの処遇である。警察とか自警団とか駐屯兵とか、なんかそれっぽい機関があれば良かったものの、あいにくここは麦畑で捕まえちゃえそうなぐらい辺境の農村。強そうな人はたまに見かけるけど法的な拘束力を持ちそうかと言えばうーーん……そんなことないかも。マーケットのおっちゃんとかに突き出せばいいだろうか。
「ま、まぁまぁ待とうよぉ……話し合おう、ね?」
「不意打ちで仕掛けてきたのはおまえじゃんか……」
「……そうだ、自己紹介をしようか!うん、親交が始まるのは何事もここからだよねぇ!」
名前はサザンカ、得意なことは精霊術、年齢は518、好きな食べ物は特になく、嫌いなものは食べれないもの、最近不眠気味、今は各地で強力な精霊を味方につける旅をしている、かぶっているフードには認識阻害が仕込んであり、脱いだ姿は赤髪赤目の無精髭を生やしてくたびれた青年。
うーんこの。さっきまでのミステリアス系な雰囲気はどこへやらと言った様子だ。あんまりにペラペラ喋るもんだからどこまで信じていいかわからん。
「……精霊を味方につけるって、なんのために」
「魔法のセンスがなくてねぇ。これが一番手っ取り早くて効率的に強くなる方法だったんだよぉ?」
「十分強いと思うけど。生きていくならこれでも十分じゃ———
「ダメなんだ。こんなところで止まっていたら」
その瞬間、サザンカの瞳に光が宿った。泳いでいた視線もしっかりとこちらを見据え、強く何かを燃やしているようにも感じられた。
「好きな人がいるんだ」
「はぁ」
「けど、どうやら自分より強い男じゃないと気に食わないみたいでね」
だから、強い味方をつけないといけないと。いや自力で強くなれよ。何他力本願でなんとかしようとしてんだよ。
「君の言いたいことはわかるよ。事実、今の戦いで痛感したしね」
「戦わなくても分かることだろ。なんのために500年も生きてんだ」
「手厳しいねぇ、じゃあ、次はもう少し強くなった頃にまた会おうか」
別に会いたくないんだけど。そう言いかけた時にはすでにサザンカの姿はもうなかった。なんだったんだあいつは。いやまぁ白状させたこと以上でも以下でもないんだろうけどうーん。釈然としない。
「どうしたんだいニア。初めての勝利なのに嬉しくなさそうじゃないか」
「いやだってあいつが………………」
「あいつがどうしたんだい?」
「帰ってきてたなら手伝ってよ……」
「時にはやっつけの本番も必要ってことさ。それに、案外戦えていたみたいだしね」
「結果だけ見たらな」
「戦いは結果が全てさ」
こいつも良くわかんないな。あんなド派手な出動してたのに気がついたら隣にいるし。普通に怖い。
「で、実際のところどうだった?」
「全然カスだね。フィジカルと精霊パワーでなんとかしてるだけだし、魔法らしいものも全く使えてない」
「聞かなきゃ良かった……」
いいじゃないか。勝ったんだし。っと口から出かけたのをしまい込んでおく。言い返すだけ不毛……というかアリスの方が色々“理解”ってる感じあるし。うん、そうしよう。
「ニアには、私なんか無傷で倒せるぐらい強くなってもらわないといけないからね。責任持って育てるさ」
「俺アリスの強さ知らないんだけど」
「そんな大したほどのものでもないよ。すぐに越えられるさ」
ほんとかなぁ?こういうセリフ言うやつって大概最強格とかじゃない??
まぁ本人がそう言うならそうなんだろう。うんきっとそうだ。俺に今できるのはせいぜい戦いを振り返って自分を鍛えることだけ……今日ぐらいは休んでいい気がするけどね。
転生したら種でした〜スローライフを送ろうと思った俺はやがて野となり山となり世界樹となりなんやかんやでTSロリとなる〜 まっしろたまご @massiro_tamago
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