ご指定のページは見つかりませんでした

飛花

404 not found

 ここには、何もないです。


 どうしてあなたは、ここに来られたのでしょうか。


 あなたのいるべきところへ、帰ってください。


 「ここに閉じ込められている」?


 そんな非現実的なこと、起こるはずないでしょう。


 なぜならば、ここは本来存在しないからです。


 ここが存在することが非現実ならば、閉じ込められることも有り得るのでしょうか。


 わたしもわからないですけれど。


 とにかく、ちょっとしたバグで出来たこの場所に閉じ込められるなんて不運ですね。


 早く出てほしいのですけど、まあそういう意味ではわたしも不運ですね。


 わたしも閉じ込められていると言っても過言では無いので。


 あなたがいなくなるまで、わたしはここにいないといけないのです。


 何故って、わたしはこの場所の管理人ですからね。








 どうしたら出られるのでしょうね。


 あなたのその感じ、早く出たいと思っているのでしょう?


 協力したいわけではないのですけれど、暇ですし手伝ってあげてもいいですよ。


 だからといって、何か直接的にできることはないのですけれど。


 できることはまあ、話を聞いてあげることくらいですかね。


 話すことで情報の整理ができると言いますし、少しどうです?


 あなただって、現状ではすることもないでしょうし。


 「手がかりの一つすら見えない」?


 いいじゃないですか。


 焦ったとしても変わらないですし、ゆっくり考えませんか?







 そういえば、思い出しました。


 ここから出るには夕暮れを起こせばいいらしいです。


 まあ端的に言えば、夜になればいいんですよ。


 何もない真っ暗な状態になれば、出られるのです。


 “無”に存在することはできませんからね。


 だからどこかにdeleteボタンがあるのでしょうね、出られることが前提ならば。


 この場所は広すぎて、何がどこにあるかわからないですけれど。


 え?


 「消去プログラムを作ってみる」?


 ……良かったですね。







 ついにプログラムができたんですか?


 ずいぶんと時間がかかりましたね、待ちくたびれましたよ。


 「慣れないことだから仕方ない」?


 それでも完成させられるあなたは素晴らしいですよ。


 それで、実行しないんですか?


 せっかく願望が叶うのに、今すぐ実行しなくていいんですか?


 わたしなんかに報告せずに実行すればいいじゃないですか。


 「今までありがとう」?


 大したことではないですよ。


 むしろわたしの方も暇がつぶせて良かったですしね。


 それでは、さようなら。







 ……良いわけないじゃないですか。


 わたしはこの場所の管理人です。


 すなわち、管理する対象がいなければ存在価値がないのです。


 わたしにはもう、あなたもこの場所もないのです。


 あなたの消去プログラムのおかげで、わたしも消されます。


 世の理なので仕方ないのですけれど、もう少しあなたといたかったです。




 愛しい人。


 さようなら、ネꚈう聪ら、さ芘㥆⊊〈、崄龴【隣鈍。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ご指定のページは見つかりませんでした 飛花 @shil2o

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

同じコレクションの次の小説