第12話 秘密
「それと、ひみつ、こくはくです」
バリバリっと、頭上で変わった音がして、なんだろうと顔を上げた私は、仰天した。
「……ジ、ジロー?」
「うぬー」
呻きながら、ジローが自分の頭を剥いでいる。
ジローが脱皮してる?
「ぷはっ」
ひょこりと出てきたのは、長いまつげの、金髪の美青年。
「これが、ほんとうのジローです。このほしと、そっくりのところからきました」
それって……
綾ちゃんから聞いた、SF映画を思い出す。
「もしかして、宇宙船が不時着したの?」
「ふじ、ちゃく?」
ジローの中身が、首をかしげる。
美しい金髪がさらりと揺れた。
「ちがいます。ここは、さんばんめの、りゅうがくすぽっとです。ことばとか、ぶんかとか、れんしゅうします。このふくは、りゅうがくせいのふくです。いろんなかたち、あります」
……頭が混乱する。
つまり、綾ちゃんが見かけた空飛ぶカピバラとか、巨大ネズミって、みんなジローの国の留学生ってこと?
あの松林の『No.3』の印って……
「しばらく、おこめつぶ、の、けんしゅうしてました。おこめ、じかん、かかりますね。ごはん、だいすきです」
「……」
色々尋ねたいことはあるけれど。
私は頭を振って、もう一度、ジローのふかふかのお腹を抱きしめ、笑った。
「今日の夕飯は、ジローの作ったお米を炊いて、肉じゃが作ろうか」
ジローはにぃっと、白い歯を見せて笑った。
「にくじゃがも、あなたも、だいすきです」
おしまい
さょっとでていさます みな @mino-shiki
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