いけいけ勇者様67

最上司叉

第1話

ある朝


勇者と仲間たちはいつも通り朝食を食べている。


魔王と勇者は相変わらず気まずいままだ。


「ご馳走様」


魔王がそう言うと席を立った。


魔王の後を女が追いかける。


「?」


勇者は不思議に思いながら席を立つ。


そしてドラゴンの女との訓練に向かう。


「きたのう」


「じゃ早速いくぞ」


【カァン】


【キィン】


「どれそろそろ本気を出すかのう」


「あぁ!」


【ヒュン】


【キン】


【ヒュンヒュン】


【キンキン】


「今日はここまでかのう」


「あぁありがとう」


勇者は汗を流しに川へ行く。


【ドサッ】


勇者は鎧を脱ぐ。


【バシャッ】


「ふぅ」


「今日は暖かいな」


勇者が独り言を言っている。


「どれあがるか」


勇者は川から上がりタオルで体を拭く。


装備を整えていたその時誰かが近づいてくる気配がした。


「誰だ?」


勇者は気配のする方を見た。


【ガサガサ】


「…ごめんね」


現れたのはバスケットボックスを持った魔王だった。


「魔王どうしたんだ?」


勇者は普通に話しかけていた。


「…」


「魔王?」


やっぱりまだダメなのかそう思った時魔王が口を開いた。


「…これ」


「…ん?」


「…一緒に食べようと思って」


「…」


勇者は言葉が出てこない。


「…ダメかな?」


「あっ…食べよう!」


魔王はその言葉を聞いてシートを広げはじめた。


勇者は何が起きてるのか混乱している。


魔王はシートを広げてシートの真ん中辺りにバスケットボックスを置いた。


勇者はそれを無言で見ていた。


「…座って」


「あっ…あぁ」


バスケットボックスを挟み2人並んで座る。


「…はい」


魔王がバスケットボックスからサンドウィッチを取り出し勇者に手渡す。


「あ…ありがとう」


魔王は水筒を取り出すとコップに注ぎ勇者に手渡す。


勇者は訳が分からない。


無言でコップを受け取り固まっていた。


「…食べないの?」


「…あ…いただきます」


勇者はサンドウィッチにかじりついた。


【モグモグ】


「…どうかな?」


「美味しい」


素直に出た感想だった。


「良かった」


魔王は安心して笑っている。


「!」


勇者は魔王が笑っているのを見てほっとした。


勇者は魔王に嫌われた訳ではないと安心したからだ。


「ごめんね」


魔王が勇者に謝る。


「俺こそごめん」


「フフッ」


こうして勇者と魔王は仲直り?をした。


魔王は朝食の後追いかけてきた女に言われたのだ。


「いつまでもこのままじゃ嫌でしょ?」


魔王は頷く。


「だったら仲直りしよ」


そして魔王は初めてのサンドウィッチを作りお茶をポットに入れ勇者が汗を流しに行った川にきたのだった。


勇者と魔王が仲直りして帰ってきたのを見て女は複雑な気持ちだった。


勇者の仲間たちは内心良かったと思っていた。


だがそんな勇者たちの安息は短かった。



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