爆発の答え
ボンッッ!!
何かが爆発するような音が広い闘技場に響く。
ケムケムと機械から黒い煙が漂っていた。
観客たちは突然の音にどよめきが走り、煙が出て見えなくなった白衣を来た生徒を心配する声も聞こえた。
しかし煙が晴れると観客席には笑いが溢れた。
「げっほ、ごほっ!」
煙の晴れた中から現れたのは白衣の所々が焦げた、爆発頭の髪型をした青年だった。
「はて…可笑しいな。不備は無かった筈だが……」
笑われているにも関わらず我関せず、というような態度。鋼の精神で出来ているのではと言われそうな不遜な態度で先ほど煙を大量に放出した機械を上から下までくまなく見て回る。
そう彼はこのお話(異世界ちゃんねるにての一回目の掲示板)で登場したロンジェヴィテ、略してロンである。覚えていただろうか?
彼は今回、研究会の代表としてこの体育祭を盛り上げるために簡単な装置を作った。
まぁ簡単に言うと花を降らせる装置だ。ただの花じゃないというところは普通じゃないかもしれないが。
この装置は魔力で出来た花びらを降らせる予定だった。
それもこれも装置が爆発したことでおじゃんになった訳だが。
そしてロンは本当に純粋に疑問に思った。何故こんなにも簡単な装置が爆発し失敗したのか。
ロンはこれでも幼少の頃から研究に携わってきた人物だ。勿論失敗など数え切れないほどに経験している。しかし、一度犯した失敗は二度と起こさないと心がけて研究を行っていた。
実際魔力暴走以外に関しては失敗は無かった。
だが今回爆発した。
ロンは記憶を辿り本当に間違いが無かったか探すが全く心当たりが無かった。はてさてならば何故爆発したのかという疑問にまた振り出しに戻る。
ロンは視界の端に今回の祭りを行うに当たってまとめ役となった後輩を視界の端に収めながら機械をまた眺め始める。――ネタのような髪型をしたまま。
周りでは体育祭の委員達がゴタゴタしつつも体育祭の告げ、会場は終始なんやかんやありながらも賑やかに終わったのだった。
余談だが、ロンは最後までとても印象的な髪型のまま首を捻っていたという。なんとも図太いというか…ある意味強い人間という印象を周囲へ知らず知らずの内に知らしめていたそうな。
□ ■ □
「チッ」
その舌打ちはもはやチ、を越えてヂッだったと後に彼のそばに居た者は語る。
「仕事増やしやがって…なんっであそこで邪魔するのかねぇ?」
と、誰が聞いても苛ついているとしか思えない口調でグチグチ言いながら彼は目の前に居る既に意識の無い相手に不満をぶつける。
今の時間はちょうど日が沈みきった午後。街は学園主催の祭りが終わった後で未だに熱が引かない者達で溢れていた。
青年の前で意識を失った人物は、彼の舌打ちを聞き届けて意識を失った。恐らくその舌打ちをこの先忘れることは無いだろう。
青年は先程体育祭の終盤で起こった爆発について調べ、犯人を問いつめていたのだ。そしてその理由が単なる私怨だった為にイラついて…いや、ようやく一仕事終えて帰ろうとしたところで追加の仕事が増えイラついていた。
青年からすればどちらもイラつく要因の一つであるかもしれないが。
「ハァ…今日こそ早く寝れると思ったのに…。掲示板と焼き鳥無かったら今頃暴動でも起こしてたんじゃないか…俺」
疲労感たっぷりという雰囲気で青年は溜め息を吐く。
「はーやめやめ!暗い雰囲気は俺には合わん! そうや、焼き鳥我慢してたからこんなイライラしてんのや。もうやけ食いして寝よ」
少し変わった話し方を交えながら一瞬で雰囲気を明るく変えた青年は思い切り笑顔を作り、一人ニコリと笑った。誰かが見ていれば1人で笑ってる…と変な目で見られていただろうが、幸い彼と意識を失った相手は人通りの無い闘技場裏…の、横に居た。闘技場の裏手は役員が居る。そのため横はわざわざ人が来るわけもなく誰にも見られる心配は無かった。
糸目の青年は意識を失った男の服の適当な所をつかみ上げ、ずるずると引きずりながら闇へと溶け込み見えなくなった。彼の服も相まって暗闇に一瞬で消え、最後に見えていた色は引きずられた男の色だった。
そして次の日。一人の研究員が仕事を退職したという噂が少しの間流れた。その研究員が退職届けを出す際。何かに怯えるように泣きながら自分のした事を話し、あっさりとその退職届は受理されたそうだ。
ロンは翌々日真相(機械が爆発した原因)を知り疑問が解決した事で、快眠することが出来たという。ジルはそんな話を小耳に挟んで焼き鳥の味を思い出したのだった。
□ □ □ □ □
ジルは冒険者以外の役職にも就いていますが周りの人達は知りません。前半のがロン視点。後半がジル視点です。分かりづらかったらすみませんm(_ _)m
後たまに最後に作者が話してるやつがありますが鬱陶しかったらすみません。この世界(異世界ちゃんねるにて)の幽霊とでも思っといて下さい。
異世界ちゃんねるにて ピピ @Kukkru
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