3話目
人形使いだと名乗ったフロンくんに私とスノウは冷や汗が止まらなかった。
巷で騒がれている殺人鬼を利用して私達の計画を遂行しようとしたが思ってたよりもやばかったので計画がここで終わりそうになっている。
私達が殺されるなんて事になったら終わりだ。
「なあフロン、君はその後ろの親父以外にも家族は居るのかい?」
スノウ、いやホワイトがそう聞いた。他にも"家族"が居るのならその分被害者は多いという事、つまり無差別殺人の可能性が高い。
「居ますよ、妹が」
そこで初めてフロンくんは笑った、幸せそうに。
「この孤児院が今日で最後の日と知っていてわざと来たのかと思ってましたがその反応を見るに知らなかったんですかね、まあもうどうでも良いんですけどね」
「僕は知っていたが彼女は知らなかったよ、日に日にここの子どもが殺されついには孤児院自体が無くなる事になった」
「.......別にあの子達を殺したい訳では無かったんです、ただ命令に従っていたらこうなっただけで」
命令。
なるほど、これは勝機があるわ。
「その命令とやらは誰が?」
スノウが聞くとフロンくんはまた笑った、けれど辛そうに。
「もう死んだよ、親父が命じてたんだ」
この後ろにいるやつと命じてたやつは一緒だったのかしら.....?
「ねえフロンくん、私達はと一緒に来ない?」
「どこに?......警察?」
「警察は私達も行きたくないわ、私達は復讐をしているの」
「僕に命令する気?」
ゆったりと後ろの"親父"が動き出す。嘘でしょそれ動くの?
「命令じゃないわ、お願いよ」
怖い気持ちを抑えながらフロンくんに笑いかける。
「私の計画を手伝ってくれない?この計画が終わったら私を殺しても良いわよ」
フロンくんは目を見開いた後にっこり笑った。
「良いよ、終わったらその目を僕に頂戴」
フロンくんが私の手を握り嬉しそうに笑う。
「お嬢様........」
こいつ正気かみたいな目で向けてくる不敬な女装男をスルーしながら可愛いフロンくんを撫でる。
計画とは少しズレたけど順調ね!仲間ゲット!
孤児院から出て私達の小屋までまた徒歩で帰った。フロンくんが途中で疲れて寝てしまいスノウがだっこをして帰った、本当に可愛かった。
なんだかんだ言いつつスノウはフロンくんをかわいがっているようだ。
「素直じゃないわよねえスノウ」
「うるさいですよお嬢様」
疲れて寝ているフロンくんを撫でながらそんな事を言っているスノウに素直じゃないなあと思いながら私は新聞紙を広げた。
「........お嬢様、何故フロンを仲間にしたんですか」
「アクシアならそうするでしょ」
「アクシア様の名前を偽名に使ったの許してませんよ」
「許されなくて結構、それにこれは私なりの弔いよ口出ししないで」
私の双子の弟アクシア、あの騒ぎの時お母様はアクシアをすぐに連れて私を置いて逃げた。
心優しい男の子で、どんな人でも助けられる義務があるという信条があった正義感に溢れる子だった。
そうよね、アクシア。誰にでも救われる義務はあるものね。
「.......丁度フロンはアクシア様の年齢ぐらいですよね」
「10歳ね、私達が復讐を誓ったのもその歳だった」
今はもう17歳、いつの間にか年月が過ぎていっていた。もうすぐよアクシア。
復讐を必ず遂げて見せるわ。
何か言いたげなスノウを見ないふりをして。
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