4話目

「自己紹介をしましょうか」

 パン、とアクシアさんが手を合わせる。どうやらあの時僕に名乗った名前は本当の名前では無かったらしく改めて自己紹介することになった。

「.....僕の名前はスノウ、アリシアお嬢様の元で使えている従者です」

 はあ。とため息をつきながらホワイト、いやスノウさんは自己紹介をした。

「私の名はアリシア、計画に協力してくれてありがとうフロンくん」

「.......こちらこそ」

 笑えているか分からないが自分なりに笑顔を作ってみる。

「きゃあ可愛い!フロンくんスノウの小さい頃の服着る?」

「着ません」

 アリシアさんは僕を可愛い可愛いと弟扱いをしてくる、出会ってそんなに日にちが立っていないというのに良くそこまで心が開けるものだ。

 .......いや、どうやら心は開いていないらしい。

 目の奥が笑っていない、まだ僕を見定めている途中という所だろう。

 スノウさんは僕を拒絶しているような素振りを見せるがちゃんと僕を受け入れてくれている。

 多分スノウさんは演技が上手な人だと思う、感だけど。

「僕も自己紹介した方が良いですか」

「うーん、そうね、一応しましょ」

「もう僕らはあの時に自己紹介聞いた気がするけどな」

「スノウ、余計な事言わない」

 アリシアさんはスノウさんには心を開いているようだ、どうやら長い付き合いらしいしそりゃそうか。

「僕はフロン、生きている人形を作っています」

「生きている人形、ね.....」

 スノウさんの雰囲気が変わった、これは僕をどういう立ち位置で動かそうか考えているのだろう。

 明らかな駒扱いだ。

「ねえフロンくん、あの家族達はどうやって作ったの?誰でも作れる?」

「いえ、誰にでもは作れないと思います」

「なるほど、どうして?」

「.......僕にも分かりません」

 僕は嘘をついた。

 僕だけがこの家族を作れる理由、それは"あの方"に力を貰ったから。

 二人は僕を復讐の計画の利用をしているだけだ、だから僕も彼らを利用しよう。

 あの方の為に。

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アリシア嬢の王国再生記 犬野ツナ @inunotuna

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