2話目
「その殺人鬼の特定は出来ているの?」
「ええ勿論ですアリシアお嬢様」
わざとらしくお辞儀をするスノウに乾いた笑いが出る、カッコいいわねスノウ。ドレスの姿じゃ無ければだけど。
「さあお嬢様、突然ではありますが行きますよ」
「殺人鬼に会うの?危険じゃ無いかしら」
「.......いえ、まあ、多分今日からは大丈夫ですよ」
「.........あっち側が動いたの?」
緊迫した空気が流れる。
「違います、ただ殺人鬼の都合ですよ」
緊迫した空気など流れていなかった。
「行きますよお嬢様、早く行かないと間に合いませんからね」
主君に碌な説明もしないままこの従者は私を連れ出した、不敬。
「普通はこういう時馬車を使うのでしょうねえスノウ?」
「僕達は目立たないでしょうお嬢様、徒歩ですよ」
どれだけ歩いただろう、首都の近くである私達の小屋からそれはもう遠く離れていて気が触れそうだった。
若干疲れているスノウと満身創痍の私はなんとかその目的地へと着いた。
孤児院。ここが目的地?
「その殺人鬼はペドフィリアだから子供を買って囮にしようっていう作戦かしら?」
「恐ろしい事考えますねお嬢様」
あら、大真面目に答えたのに引かれてしまった。
なんだか恥ずかしいわ......。
「じゃあどうして孤児院に来たの?」
「ああそれは」
スノウが喋っている途中で孤児院の扉が開いた。
「お客さんですか」
黒い髪に黒目、真っ黒な喪服みたいな服を来たその男の子は私達にじとりとした目で探っていた。
綺麗な美少年ね、スノウも素敵な外見をしているけれどこの子も負けていない。
見た所十歳ぐらいだろうか?
「僕はホワイトです、この子は僕の従者」
挨拶をしなさいと目で合図をされたのですぐにスノウに合わせる。
「こんにちは、わたしはアクシアと言います」
ピクリ、とスノウが動いた。
「変わった名前ですね、まあ怪しい人ではないみたいですし案内しますよ」
カツン。コツン。カツン。コツン。
「子供を買いたくてね、良ければ他の子供を見せてくれないかい?」
「......良いですよ、あと貴方男性なんですねホワイトさん」
「ああ、うん、まあね」
すっかり忘れていたがそういえばスノウはいつも女の子の格好をしている、今もだ。
他の人からしたら怪しすぎる男だろう。
こんな警戒しなきゃ行けないような男に子供を見せれる筈が無い、下手したら女装癖以外にロリコンもあるかもしれないのだから。
「主人は女装癖以外は本当に問題無い人なので安心して下さい」
「女装癖は問題だと思いますけど.....」
じとりした目でまた見られてしまった。もしかして私墓穴を掘ったかしら?
「まあ良いです、少し待ってて下さい親父を呼んできます」
親父という事はこの孤児院を運営している人か。
あの男の子の姿が見えなくなるとスノウは耳打ちをしてきた。
「アリシアお嬢様、この孤児院人の気配が彼以外しませんね」
「ええ、それは私も思ってたの」
誰の声も聞こえないし生活音もしない、明らかに他に人が居た形跡があるというのに。
「.......一度隠れましょうアリシアお嬢様」
「ええ、そこの大きなタンスはどうかしら?」
こくりとスノウが頷く、二人でタンスを開けることにした。
ごとり。
「ひゅっ.......」
出てきたのは死体だった。けれど腐敗臭も血の匂いもしない、けれど皮膚が腐りうじ虫が湧いている。こんなに気持ち悪い死体は初めて見た。
胴体がバラバラになっていていくつかの体の部位が無い。気持ち悪い。
「お嬢様、落ち着いてください」
スノウも気が動転しているようだ、冷や汗の量が凄いし目が泳いでいる。
復讐をするという事はいつか死体を見ることにはなると思ってはいたし覚悟はしていた、けれどいざ目の辺りにすると気持ち悪さが込み上げてくる。
カツン。カツン。
「お嬢様!逃げましょう!」
「.......せめてどこかに隠れましょう、知りたいの、どうしてこうなったのかを」
復讐をする。そのためにはどんな事だってしてやるわ。
「お嬢様.....ならば隠れ....」
「隠れようとしてたんですか?ホワイトさん、アクシアさん」
何かを引きずってきた黒髪の男の子は私達にむすっとした顔で問いただしてきた。
「僕はお二人の為にちゃんと親父を呼んできたのに、なんで隠れるんですか」
「は?親父って.....」
スノウが震えた声で言った。
私は男の子ばかりに目が言っていたがその子が引きずってきた"それ"を目にした瞬間ぐらりと視界が揺れた。
女性と男性の死体が交互に縫われていて中には子どもの死体が沢山入っていたのだ、気持ち悪い。
それも色んな人の色んな部位を使って組み合わせており何ともまあ気持ち悪い仕上がりになっていた。
「......これは貴方が作ったの?」
「名前を言ってませんでしたね、僕はフロン」
人形使いをやっています。
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