第3話ースポーツクラブにて

 ヨシテルは、週に3日、スポーツクラブへ行っている。

 いつも、筋トレをマシンジムでするか、水泳をしている。

 京急上大岡駅の近所のスポーツクラブ「角川アスレチック」で、筋トレをしている。

 …

 もう、ここのスポーツクラブへ10年通っている。

 今は、2024年3月になっている。

 そして、2014年当時は、まだ、30代だった。

 その時、ヨシテルは、スポーツクラブのインストラクターに恋していた。

 そして、ヨシテルは、そこには、年配の女性しかいないのに、気に入ったインストラクターの女性がいて、みんなと一緒に、箱根へ行った。

 箱根の登山をした。

 横浜駅から東海道線で、小田原まで行って、ハイキングをしていた。

 2015年秋だったと思う。

 そのインストラクターの女性は、少しだけ、長澤まさみに似ていた。

 ショートカットで、背が大きかった。

 そして、箱根の山で、二人で、写真を撮ったが、いつの間にか、その写真はなくなった。

 箱根で紅葉を見た。

 ハイキングへ行った。

 本当は、その長澤まさみ似のインストラクター、ナオミと付き合いたいばかりに、よくプールで、泳いでいた。

 凄い時は、1000mも泳いでいた。

 だが、ナオミは、2016年2月に、恋人の男性と歩いているところを、金沢八景駅で観て、以来、声を掛けなくなった。

 …

 だが、今は、水泳をしている。

 プールで、ハアハア言いながら、水でぽちゃぽちゃ音を立てながら、泳いでいる。

 そして、ヨシテルは、いつしか、サヤカのコンビニにも行かなくなった。

 いや、帰ったら、隣の部屋に、サヤカがいるのだから。

 コンビニで、サヤカに会えなくても、家の帰ったら、いる。

 サヤカとコンビニで、会わなくても、もう、仕事に専念したら良いと思った。

 あの時は、ナオミのつぶらな瞳とキュッとしまったお尻が好きなただの痴情と今なら、ヨシテルは、感じている。

 馬鹿だなぁと思った。

 だが、そんなナオミに会いたい気持ちがあったからこそ、そう、恋は、砕けたけどと思った。

 会社では、あまり、仲良しはいなくて、今に至っているけど、と思った。

 …

 いつも、スポーツクラブへ行って、筋トレをして、水泳をし、そして、コンビニで、買い食いを減らした。

 ナオミは、少しだけ、乃木坂46の西野七瀬に顔が似ていたなと思った。

 2024年3月14日は、ヨシテルが、サヤカに、「ホワイトデー」と言って、ヨシテルが、自分で、唐揚げを作った。

 そうだ、と思った。

 シナリオライター新橋イチローの動画配信のドラマがあった。

『White day share with you』なんてドラマがあった。

 新橋イチローのドラマは、どうだったのかと思った。

 そして、K書店の店員が、30代の関西人の女性、古川優奈に惚れていて、彼女に会いたいばかりに。新幹線で大阪まで行ったのだとか。

 ヨシテルは、そんな話を聴いて、

 昔なら「こんな男、馬鹿だなぁ」と思っていたけど。K書店の男は、品川駅から新幹線で、大阪まで行く行動力は、すごいと思った。

 唐揚げを作って、そして、レタスやらポテトサラダを、作った。

「サヤカ」

「何?」

「俺って、新橋イチローのドラマに勝っているかな?」

「誰、新橋イチローって?」

「この間、見たドラマの作家」

「そんな人、知らないよ」

 と言いながら、唐揚げを美味しそうにサヤカは、頬張っていた。

 …

 そう言いながら、毎日、コンビニへ行かないように、注意をしていた。

 2024年3月下旬になった。

 大谷翔平選手と通訳の男性が、事件を起こした。

 メディアは、みんな、大谷翔平選手らを、色んなことについて、話をしていた。そうだ、と思った。

 数日前まで、大谷翔平選手は、奥さんがいたのではないかと思った。

 だが、ヨシテルだって、一時期。野球部にいて、大谷翔平選手のことは、多少は知っていた。

 そして、大谷翔平選手のことは、ショッキングだったと、ヨシテルは、思っていた。

 …

 2024年4月。

 ヨシテルは、サヤカと近所の角川公園で、花見をした。

 それでも、ずっと、スポーツクラブへ行って筋トレをし、水泳をしていた。

 そして、健康診断が、あった。

 実は、内心、糖尿病になっていないか。脂肪肝になっていないか、と不安だった。

 2024年5月。

 ヨシテルは、健康診断の結果が、分かった。

 内科医のK先生は、診察で

「肝機能も腎機能も悪くないよ。脂肪肝が、治ったよ」

 と言った。

 そして、家に帰ったら、サヤカは、笑顔で「良かったね」と言って、ヨシテルの頬に軽くキスをしたのだった。

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