第2話

私は興味を持ったらやってみるをモットーとしてきた。脳が壊れた今も、それは感受性が死んでしまうのを恐れて続けてやっている。

 しかし、私の脳ミソは非常に疲れやすくなっていて、まず、やるまでに一苦労。義務感だけで、最早私のメインの生息域となったベッドからのそのそと起き上がる。タバコを吸って、気分を少し楽にして、やっとこさ出かけるのだ。

 それで、遊んだり何かを体験してる間は三歳児ぐらいの知能に戻ってアドレナリンを出しながら楽しく過ごすのだが、その後が問題だ。

 疲れきった私の脳ミソは反動として、次の日かその夜には鬱状態に至る。思い出は辛いものに書き換えられ、好奇心を嫌な物に変えて感受性を失って行く負のループ。失いたく無いと思ったものが手元からボロボロとこぼれ落ちて行く。

 人はなんやかんや感情に理屈をつけがちで、私も例に漏れずその一人だった。しかし、一回システム1もシステム2も遮断してありのままの自分に戻ってみると、徹夜明け見たいに疲れきった脳が、絶望や悲しみ等の不快な脳汁を排出し続けてるだけの状態。ああ、私の脳ミソ本当に壊れちゃったんだな。

 意味の無い負の感情。なんて空虚。それに胸の痛みを感じながらベッドの中でひたすら耐えるのだ。その空虚さに危機感を覚えて何かに挑むも、その度に興味の対象や好きだった物を失って行く。本当に空虚な人間だ。空っぽが埋まらない事、バレてたらどうしよう。きゅうくらりんは鬱になって初めて共感する。名曲だと思う。

 頭では、一回休んで治ればまた元通りハッピーな生活が送れるぜと思っていても、実感が湧かない。今の私はどうやったら変われる?ぶっ壊れた脳ミソに抗うつ薬という添加物をぶち込んで、私の自我はもうぐちゃぐちゃ。ランチョンミートが自分は豚ですって言うか?言わない。私は人間ですか?言えない。それに、ランチョンミートが豚に戻れる可能性が何パーセントあるのか私には想像もつかない。

 兎に角、今の自分をどうにかしなきゃ、立派な人間にならなきゃで空回り。脳ミソのリソースが少ないから利己的にならざるを得なくて、こんな私は見て欲しく無い。人に迷惑はかけるし、傷つけるし、怒らすし、自分も疲れちまう。医者は人と話せと言うが、こんなコミュニケーションが良かろう筈も無い。私は貝になりたい。この世の全てを断絶して、ひたすら脳のバグに耐えながら過ごすのだ。それ、楽しい?死んでしまった方が楽じゃない?そんな誘惑が私を駆り立てる。元々死への憧れがある私にとってはひとしおに効く。無理だ死ぬ。嫌だ生きていたい。

 こんな私を見て笑って下さい。何も返せない私はせめて笑って貰う他無い。こんな人間いるんだなぁ。で笑ってそのうち忘れて下さい。コンテンツとして消費して下さい。

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ユーレイはキライだよ 誰が袖 絵空 @kono87398

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